箱根の桜 1
箱根と言ったら、アジサイ、ツツジ、モミジ……くらいに思っていた。
しかし、桜もいいらしい。
というので、姉に誘われ出かけてみた。
例年は4月中頃が見頃らしいが、今年は3月末で既に満開であった。
箱根の前に、つい寄ってしまう小田原城の桜。きれいでした。
小田原城のお濠と桜。
満開。賑やかに咲いていた。
小田原駅から箱根登山鉄道で10分ほどで、入生田(イリウダ)駅。
そこからちょっと歩いていくと、長興山・紹太寺。
黄檗宗のお寺らしい。
ご本尊の釈迦牟尼像は、鎌倉時代、
北条政子が亡き夫源頼朝の供養のため創建したもので、
もともと伊勢原市のお寺に祭られていたが、そのお寺が廃寺になったので、
箱根のこの紹太寺に移されたという。
寺にも興亡あり、ご本尊も移動あり、だ。
この山の中腹にあるらしい「神奈川県の天然記念物の枝垂れ桜」なる一本桜
に会うのが姉のお目当てだったらしいのだが、
山の中に入っていくも、なかなか見当たらない。
「一本桜や~い」と探す。
これか?
いや、綺麗に咲いているけれど、「天然記念物」というほどの風格はなし。
どうやら、こちららしい。
↓
ひっそりしていて、すぐには気が付かなかったよ。
ううむ。「風格」あるじゃないの。
どーん!と一本桜じゃないの。
でも、花をつける元気は、もはや、ない感じ。
ううむ。ちょっと痛々しくて残念な姿ではある。
期待していた(?)姉は、かなり落胆のご様子。
以前はこの桜の周りにお店も出て、こぎれいなテーブルも設えられ、
飲食しながら花見ができたらしい。(ネット情報による)
今は、なーんもなし。(静かでいいけど)
ま、他の桜も綺麗だよね、と気を取り直してはいたが、
「でも、あの一本桜、ネットの情報と全然違うわっ!」 と、
普段から「ネットの情報なんて全然信じない」と断言するお姉たまが
“裏切られた感”をかなり引きずっていた。
こっちのほうが、新たな「天然記念物」にしたらいいんでない?
なんて木々があちらこちらに。
ヒメシャガが群生していて美しかったし。
マムシグサもつやつやしていたし。
山の中だけあって、苔むした石段や木々がどこか幽玄としていて。
ただね、
「春日局」が「眠る」と立札に書いてあるから、
もしかして、お墓が?
と、ちょっぴり期待したが、
やはり石塔?のみでした。
小田原城主、稲葉正勝の実母が春日局だったそうで。
彼女の孫にあたる稲葉正則が、
本当の墓ではないけど、供養塔を築いた、と。
お姉の期待した風景は見られなかったけれど、
春日局のお墓もなかったけれど、
山の空気が心地よい長興山紹太寺ではありました。
――でも、ご朱印も今はやっていないとのことで、
ここの御本尊、またどこかに移されようとしてはいないか?
と、ちょっと心配になった私であった。(杞憂だろうけれど。)
入生田から箱根登山バスに乗って、30分ほどの宮の下へ向かう。
しかし、このバスが大混雑で。道は大渋滞で。
あぁ、箱根もすっかりコロナ以前の状態に戻ったことよ。
で、宮ノ下で降りて少し歩くと、すぐに「早川」が流れる「宮城野」の桜堤で。
川音を立てて勢いよく流れていく。気持ちよし。
箱根にこんな川があったのね~と今更ながら知る。
早川に沿ってずっと歩くと、行き止まりのようで。
途中で右へ抜けて
バス通りまで出て、丁度やってきたバスに乗り込み、
ホテルへ。
よく歩いた一日でありました。
夜はホテルの近くの寿司屋さんへ。
これまた、箱根で寿司?と意外なのだが、
ここの寿司屋さんはとっても美味しい♡
私の場合、この寿司屋で食べるために箱根に来る、と言っても過言ではない。
満開の桜を満喫し、箱根の山の霊気をたっぷり吸い込み、
美味しいお食事とお酒で
贅沢なことだなぁとしみじみ思う。
あれやこれやに感謝しつつ、箱根の一日目は
腹パンのまま暮れたのであった。
これで、ホテルの温泉で、子連れ客がもう少し静かに入っていてくれたら
完璧だったのだが。
完璧でないところが、いい旅、なの かもしれない。