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『インビクタス/負けざる者たち』

■STAFF
監督:クリント・イーストウッド
脚本:アンソニー・ペッカム
製作総指揮:モーガン・フリーマン/ティム・ムーア
音楽:カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンス

■CAST
ネルソン・マンデラ(南アフリカ共和国第9代大統領/任期: 1994年4月27日~1999年6月14日):モーガン・フリーマン

フランソワ・ピナール:マット・デイモン



■上映時間:132分


■日本公開日:2010年2月5日(金)

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実話、南アフリカ、アパルトヘイト、ラグビー。

それらのキーワードからイメージ出来る映像は


自分の中で実に乏しく


堅苦しくシリアスにあれこれ

考えたくない気分も

あり観覧を躊躇していた。


ま、でもモーガン・フリーマンが出演しているし、どれどれ、そんな感じで映画館に入った。


したら冒頭からエンドロールまで

さざ波のように静かに感動が押し寄せてくる実にいい映画だった。


過去とは訣別し、未来を見据えた大統領の目線を軸にしているので、最後までとても観やすかった。


物語は、

反逆罪として27年間、刑務所に収容されていたネルソン・マンデラが釈放された1990年2月11日から始まる。

冒頭のシーンで彼を乗せた車が走る道路を

挟んむ二つのフェンス。


片方は整備されたグラウンドでラグビーをする富裕層の白人達。


もう片方は土のグランドで裸足でサッカーをする貧困層の黒人達。


アパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃する前の南アフリカを表現しているのだろう。



釈放後、ネルソン・マンデラはアパルトヘイトを撤廃し1994年に南アフリカ初の黒人大統領に就任する。


そして側近を新たな黒人のみで固めず、また前政権の白人スタッフを集めに呼び掛ける。


「過去は過去。

皆の力が必要。

我々が努力すれば、我が国
は世界を導く光となるだろう」と。


新政権は動きだすが国内は治安悪化、不況と問題は山積み。


しかし彼は、そんな状況下で、


翌年(95年)開催されるラグビーワールドカップに目を向ける。


南アフリカ代表のラグビーチームは「スプリングボクス(愛称ボカ)」と呼ばれていたが成績不振で国民に不人気。


ラグビーはアパルトヘイトの象徴(チームカラーと愛称)でもあり、


黒人代表者達は満場一致で「スプリングボクス」の再編成、エンブレム等の変更の決議。


しかしマンデラはこのチームを支持し語りかける。


「今まで我々黒人は

白人たちに脅かされた。

しかし象徴を奪ってはいけない。


奪う事は脅威になる。


我々は白人たちと協力する寛容の心で脅かすのだ」
と。



そしてフランソワ・ピナール主将(マット・デイモン)率いる南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」のワードカップ決勝までを描く。



印象的だった台詞は


「我が運命の支配者は(己自身)」


そして


「この国は誇れるものを求めている」


きっと裕福に育った二世,三世の、どこかの国の代表には言えない言葉だろう。



この映画は

★★★★★

でした。



以上

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(S=文書番号)

06:『AVATER』S85
出演:サム・ワーシントン/ゾーイ・サルダナ

05:『ゴールデン・スランバー』S81
出演:堺雅人/竹内結子

04:『旅立ち~足寄より~』S77,78
出演:大東俊介/萩原聖人

03:『タイヨウのうた』S66
出演:YUI/岸谷五朗

02:『サヨナライツカ』S43
出演:中山美穂/西島秀俊

01:『今度は愛妻家』S31
出演:豊川悦司/薬師丸ひろ子


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