2013年を振り返り | 胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患母の会 肝ったママ’s

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胆道閉鎖症や乳幼児肝疾患の早期発見に力を入れております。
便色カードで早期発見 No more 脳出血!

ご無沙汰しております。肝ったママです。
6月にビリルビンセンサーのブログを書いて以来、こちらの方は放置してしまいました。

 2012年4月に便色カードが母子手帳に収載されてから、私達の活動も転換期を迎えたのかなと思います。
 まず、母子手帳の便色カードについては、「収載」という大きな一歩を踏み出すことは出来ましたが、カード自身の内容については、まだまだ不十分という認識です。
 私達の理想としている台湾の便色カードは、年々見直しいるようで、カラーチャートの増加もあれば、内容情報の増加もありました。また、オンラインでのデータベース構築や早期発見システム、また、胆道閉鎖症の患児へのフォローもとても整っております。早期発見から葛西手術や移植手術後のQOLまで、一環したフォローシステムがあるのです。

 個人情報保護については、日本に限らず、先進国であればどの国でも気を遣いますが、それでも構築できるシステムはあります。代謝疾患の方では「先天代謝異常症患者登録制度」通称JaSMIn&MC-Bankという新しい試みが今年始まりました。これは、患者自身が情報をデータベースに登録することによって、研究者が施設の垣根を越えて、データを治療研究に利用し、その成果を患者にフィードバックするという画期的なシステムです。これは患者の協力無しでは出来ないのですが、症例が少ないとされ、全国に散らばっている患者の情報をデータベース化することで、研究に役立ててもらおうという試みは、乳幼児肝疾患でも必要なのではないかと思います。

 ニュースなどでご存知の方もおられますが、今年は成育医療研究センターでは国内初の肝細胞移植が先天性代謝疾患の赤ちゃんに対し行われ、成功しました。また、再生医療分野ではiPS細胞からヒトの肝臓が初めて作成されました。研究チームの先生は作られたミニ肝臓をまずはカテーテルを用いて、赤ちゃんの肝臓病治療に応用出来るのではないかと考えているそうです。再生医療の分野で今後肝臓疾患に対する新しい治療が期待されます。肝移植も元はと言えば、小児への肝移植、それも胆道閉鎖症のお子さんへの移植から幕を開けました。となると、こうした再生医療でも赤ちゃんや小児から治療が始まる可能性が高いのです。

 胆道閉鎖症は、小児慢性特定疾患でもあり、こちらで登録されている方もおられます。また、胆道閉鎖症研究会という学会で症例登録をすることもあります。しかし、全員が小児慢性特定疾患を申請しているかというと、そうでもなく、地方自治体の医療補助が受けられるため、またはその存在を知らなかったため小児慢性特定疾患に申請・登録していない方も大勢おられます。胆道閉鎖症研究会に関しても、登録をする施設もあれば、しない施設もあるそうです。また、どちらの登録でも、患者本人ではなく、お役所や医師が代わりに登録するという点で、「個人情報保護の観点から」躊躇する医師などもおられると聞きます。ですので、全国の胆道閉鎖症患者症例を確実に把握するデータベースというのはありません。小児の肝疾患の大部分を占める胆道閉鎖症ですら把握されていないので、他の胆道拡張症・代謝性肝疾患などは個々の施設にしか症例は集まってきません。となると、「先天代謝異常症患者登録制度」のように、「小児肝疾患患者登録制度」みたいなのがあると、再生医療や早期発見、アフターフォローなどに活用出来るのではないかなと思いました。小児の肝疾患から研究が進んでいけば、小児の肝移植から成人の肝移植も増えてきたように、肝疾患そのものに対する研究が進むのではないのかな?と素人考えですが、思いました。ただ、公共の税金の分配という観点からすると、ある特定疾患だけを優遇することは民主国家では難しいことなので、今後も引き続き努力はしてまいりたいと思っています。

 便色カードが導入されてから、一年が経ちました。2013年2月あたりからは、便色カードのある母子手帳を持った妊婦さん達が出産され、本当の意味で全国での便色カードの運用・活用が始まりました。私達の元に寄せられた情報では、便色カードの存在で、早期に受診し、胆道閉鎖症がわかった方がおられました。中には月齢30日前後で葛西手術を受けることが出来た例もあったそうです。また、中には葛西手術後も胆汁の流れが思わしくなく、結果移植をされた方もおられました。
 胆道閉鎖症だけでなく、淡黄色便で受診して、他の乳幼児肝疾患が発見された方もおられました。
 ただ、小児科医・新生児医には、まだまだ便色カードの意義が行き渡っている…とは思えません。とっても慎重に診察して、小児外科医へ繋げ、結果早期発見に至った例もありましたが、4番ときには3番でも「真っ白じゃないなら、まだ大丈夫」という医師は少なからずおられます。「なんでもかんでも早期に発見すればいいものではない」と言う医師もおられました。
 いろんな育児サイトや医師への質問ができるサイトを見ても、赤ちゃんの便の色を相談している親に「胆道閉鎖症は真っ白になるから」「真っ白じゃないなら、様子見でいいから」と「真っ白」ばかりを強調する医療従事者もまだまだ大勢見かけます。「淡黄色便」という経験談を根気よく、今後も啓発していかなければならないと思っております。

 今までは「早期発見」に力を入れてまいりましたが、便色カード収載されてから胆道閉鎖症がわかった親御さんの話を聞くと、「(便色カード自体は)情報がないので、不安で自分で色々と調べた」「色々調べたけど、怖いことばかりで不安だった」「胆道閉鎖症の子どもがその後どのように過ごしているか分からなくて、未来が想像できず怖かった」と、病気発覚後の不安と戸惑いが多いと思いました。
 そこで、私達のホームページも「早期発見」だけではなく、「胆道閉鎖症がわかった親御さん」に患児を育てていく上で役に立つ情報や私達の子育て経験を提供したり、元気に暮らしている患児たちや患者ご本人の様子を綴ったブログを紹介する新たなコーナーを設けました。
 患者会の存在もありますが、赤ちゃんを育てている真っ最中では、外出などもままならず、また遠方の場合は同じ疾患同士出会うことも難しい。ですが、今はパソコンがなくてもスマホやタブレットがあればインターネットにつなぎ、Facebookやmixiなど色んなネットメディアで交流することができます。私達は、子育てのスキマ時間に親御さん達が経験談や情報を交流し、悩みを相談しあう場を作って維持していきたいと思ってます。

今年もあと残すことろわずか、
現在ICUや病棟で頑張っているお子さん達、来年は健康で元気でありますように
普段の生活に戻っているお子さん達も、その「普段の生活」が続きますように