「・・・ん、あ、あれ?
何?え?どこここ?さとし?」
ん、さっきの何?
やっと目が開けられる。
あれ?ここどこ?
お外?
ん?翔が呼んでる。
「にゃん」
「え?いや・・・
さとし!
さとし、どこにいる?」
「にゃん」
え?ずっと目の前にいるよ。
「え?」
「にゃ?」
「・・・もしかして・・・さとし?」
「にゃん!」
あ、あれ?
そういえば、なんか変。
なんで翔の顔、こんなに近いんだろう?
「えええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「にゃあ!うるさいにゃ〜〜〜〜」
え?
あ、あれ?
なんでおいらの耳、顔の横にあるの?
え?ってか、言葉が・・・
あれ?手に・・・肉球が・・・ない?
「え?・・・もしかして・・・
おいら今・・・猫じゃないにゃ?」
口を両手で押さえてる翔が、
ウンウンと大きく頷く。
「・・・おまじない」
「え?」
「やった!これで翔をぎゅってできる!!」
「へ?え?」
翔をぎゅっとすると、
翔がその場にへたり込んだ。
「へ?翔?大丈夫?」
「び、びっくりして・・・腰がぬけたぁ・・・」
・・・腰って抜けるの?
とりあえず、近くにあるベンチに翔を引きずって連れていって、
おいらは一昨日のことを、
翔に説明した。
「・・・マジか。
そんなこと・・・
でも実際に・・・」
ブツブツ言いながらウンウンうなづく翔。
「じゃあ、ここはさとしの願いで出来てるってことかな?」
「おいら、翔をぎゅっとしたいってお月様に思って、
昨日まーくんのお話を聞いて、
翔とデートしたいと思って、
遊園地に行ってみたいと思ったにゃ!」
「ぶっは!
お、俺と・・・デート?」
「だって潤くんがデートは大好きな人と遊びに行くことって言った!」
「・・・言ってたか。
確認だけど、
本当に・・・さとしなの?」
「にゃん!」
「・・・好きなおもちゃは?」
「翔が買ってくれた猫じゃらし!!」
「好きなお菓子は?」
「まーくんがくれるカリカリのやつ!」
「・・・マジでか」
「翔?」
「いろいろすぐには受け入れられないけども、
実際目の前には人間になったさとしがいて、
wonderlandの招待状があって、
入り口はあそこ。
なら・・・」
「いくしかないにゃ!」
「だな!よし、さとし!行こう」
「にゃん!」
入り口で招待状を出すと、
『行ってらっしゃいませ♪』と笑顔で通された。
中に入ると・・・
「うわあぁ、すごいにゃ!
見たことがないものばっかだ!
ねえ、翔、あれは何?」
走って行こうとしたら、
翔に腕を掴まれた。
「え?」
「ちょ、さとし待って!」
「にゃん?」
「慌てなくて大丈夫!
人もいっぱいだから、はぐれちゃう。
さとしの気になるとこに行くのいいけど、
俺とこうやって手を繋ぐこと」
「手を繋ぐ?」
「そう、こうすれば離れ離れにならないだろ?
それにデートだもんな」
「うん」
なるほど。
デートの時は手を繋ぐのかぁ。
「これは風船だよ。
何色が欲しいの?」
「ええっと・・・青と赤!」
「了解。すみません!
青と赤のください」
「は〜い」
「ほら、さとし。
手を離すと空に飛んでいっちゃうからちゃんと持っておくんだよ」
「・・・飛んでいっちゃう?」
「う〜ん、あ、そうだ!
これなら飛ばないかも」
「にゃ?」
翔が風船の紐を、
おいらの手首にくくりつけてくれた。
「おお!」
風船がおいらについてくる。
「ははは、気に入った?
よし!何に乗ろうか?
さとしは何がいい?」
「ん〜とね、じゃあ、あれ!」
「え?・・・あ、あれ?」