イブ当日、
智くんは言った通り、
部活が終わったと同時に帰ってく。
もうちょっとぐらいさ・・・
一緒に帰るのもダメなの?
・・・俺より、
そんなに家族が大事なの?
見送る俺に、
智くんが振り返った。
『翔くーん、明日、楽しみにしてるね』
やさぐれかけた俺に、
最高の言葉と、
可愛い笑顔を残してく。
・・・くぅ。
可愛過ぎる。
「なあ、副部長、明日だけどさ〜」
「部活休みにしないし、練習時間の短縮もしないぞ」
「・・・・・」
なんで俺が言おうとしたことがわかった?
「なんでわかったかって?
お前、鏡見てこい!その顔マジでヤバイからな!
絶対に大野さんに見せんなよ!」
「え?そんな・・・?」
「そうだよ!見てるこっちが恥ずかしい!」
「ひどい」
「うっせー、早く帰れ!ばか!」
「帰るよ!ばか!」
「あ、そういえば、隣駅の駅前、
イルミネーションすごかったぞ、
・・・行ってみれば」
「え?マジ?行ってみよっと。
ありがと」
「あ、これ、後よろしくな」
「は?これ全部?ちょ・・・」
・・・さすが副部長、
しっかり俺の分残してくし。
でもいいこと聞いたな。
クリスマスにイルミネーション、
最強の組み合わせじゃん!
絶対いいよ!
・・・隣駅か、
プラン変更だな。
確か美味しいって有名なケーキ屋もあったはずだし。
時間あるし、
ちょっと下見行ってみるかな。
プレゼントも買いたいし。
あ、お互いに選びっこするのもいいかも。
いい店あったっけな?
男1人でイブにうろうろしてたら変に思われる?
否!他の誰にどう思われてもいい。
俺にとっての、
本番は明日!
明日は決戦の金曜日!
明日決めないでいつ決める!
イルミネーション見て、
プレゼント選んで買って、
ケーキ一緒に食べて、できればご飯も一緒に食べて、
その後・・・
があればいいけど、
なくても別に・・・
智くんと一緒にクリスマスを過ごせたらそれでいい。
智くんと・・・
特別な日にできたらいいな。