初めて一緒に暮らした男は、いつもみんなに囲まれていた。


その仲間でめいっぱいおしゃれをして、月に一度ススキノに踊りに行く、という習慣があった。




なのに。



私の働くお店に全員集合。


「準備運動、もしくは壮行会(・∀・)!」


あぁ、そうですか・・・(´Д`;)


地元で生ビールを1杯だけ飲み、勢いをつけてJRでススキノに行くとか。


そんな・・・生ビール1杯の勢いなんて、JRに乗ってススキノまで持続できるのかい・・・。



身内の私が接客するよりも、というコトでTちゃんがそこの席に着いた。



生ビール1杯ずつ。


これには個人差がある。


あっと言う間に飲み干してしまう人。


30分近くかかる人。


なので、座って10分も立たないうちに個人差が出始めた。



「どら!俺が作ってきてやる(・∀・)ニヤニヤ!」


そう言って私の彼が空のジョッキを持って・・・













トイレに・・・(´Д⊂グスン


しかもヤツラ。


「マイルドビールだ♡マイルドビールだ♡」


と大騒ぎ。


当時はおしっこ健康法なるものが連日ワイドショウなどで放映されていたので、彼の父親はそれを実践していたそう。


だけどお兄さん。


あのう、うちのジョッキでソレはやめて下さい・・・。



そして数分後、並々とマイルドビールを入れたジョッキを持ち、彼が戻ってきた。






************** 中 略 *****************





1杯勢いをつけるはずだった彼らは、結局1時間ほど飲んで帰った。


これからススキノに向かう、と言って大騒ぎしながら出て行った。




中間点の省略した部分で、歓声があがった部分があった。


Tちゃんが生ビールのおかわりをもらおうとする直前だった。



「盛り上がってたよね、何だったの?」


何気なく聞いてみた。


「あ~、あれぇ?」



不機嫌そうにTちゃんは全貌を語った。



自分のジョッキのビールを飲んだ瞬間、みんながこっちを見てニヤニヤしてるのがわかった。


何だろう?とは思ったけれど、気にせずグイッっと飲んだ。



「ウッヒョ~!飲んだァ!マイルドビール・イェーイ♡」


「・・・何が?だってこれ私のジョッキでしょう?」



いつのまにか摩り替えられてたらしい。




「あんた・・・味でわかんなかったの((;゚Д゚)))))))))))?」


「うん?酔っ払ってたしネ(・∀・)!」



「それで・・・どうしたの((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル・・・?」



「うん。頭に来たからさぁー。


一気に全部飲み干してやった(・∀・)!」



恐るべし。


女帝。