●失敗の捉え方
こんばんは。看護師の悩み解決専門カウンセラーの坂口です。
今日は、「失敗の捉え方」について、思うところを書きます。
けっこう前の話になりますが、非常に頭から湯気が出るほど、ぶち切れた出来事がありました。
相手のあまりにも理不尽な言動に対し、意見をしても私が言い終わる前に自分の意見を無理にでも通そうとし、怒鳴られ、まさに「取りつく島もない」状態。
正直、どうして私がここまで言われなければならないのかと、怒りと悲しみで一杯で、数日、悶々としていましたし、思い出すだけで怒りを通り越して、悔しくて泣いていました。
「こういう切り口で話を進めれば、もっと、相手はすんなりと聞いてくれていたかも知れない」
そんな反省点もありましたが、今回の件は、私は別の切り口から話を進めたので、結果的に事が大きくなってしまった。
その意味では、今回の出来事は、「失敗」だったのかも知れません。
でも、そういう風に冷静に考えること以上に、怒りを消化することが数日間、できなかったのも事実です。
怒ったって、何も解決しない。
大人げない。
言ってもわからない相手とまともにぶつかりあってもしょうがない。
そんなことはわかっていながらも、怒りがどうしても収まらない自分を正直、持て余していました。
私の心の中で、正論と本音がぶつかり合いました。
私の本音は、それはそれは決して綺麗なものでもなく。
ものわかりも悪く。
恐らく、私の本音を誰か他の人に対して愚痴ったところで、周りは決していい思いはしないだろうし、「じゃあ、一体、あなたはどうしたいの?」と聞かれる可能性満載の状態。
確かに、状況的に考えると、世間一般の尺度からすると、私の方が逆に責められかねないほどの本音を抱えていました。
でも、それでも、あの時の私は、1人でもいいから、私のこの怒りを理解して欲しい。
わかって欲しいという思いで一杯でした。
その思いがたとえ、常識的に「とんでもない発想」だとしても。
言いたい。
私の怒りをまき散らしたい。
そんなやり場のない怒りを抱えている時に、ふっと、気づいたのです。
「失敗から受ける「恩恵」ってあるよな」と。
それは、無理矢理に自分に言い聞かせた訳ではありません。
多分、自分の中で怒りに怒って感情を感じきったからなのでしょう。
やっと、冷静な自分を取り戻せました。
ここでいう「恩恵」というのは、「失敗したから次は、こうする」。
つまり、今回の私の出来事でいうと、「次からは伝える切り口を変えてみる」という、直接の対応策ではなく、「失敗」から連鎖し、付随してきた様々な感情のことです。
やり場のない怒りや悲しみをどうすることもできず、ただただ、打ちひしがれている自分を、どこか別の自分が傍観している。
そして、傍観している自分が思ったのです。
「この経験をいつか、必ず役立てよう」と。
私と同じように、どこに怒りをぶつけたらいいのかわからない思いを抱えている誰かのことを、今よりももっと、深いレベルで理解できるかも知れない。
どれだけ心の中で、ひどいことを思おうが、何をどう感じようが、それはそれでOKなんですよ。と私が代わりに言ってあげることは、これまでも普通にやってきたスタンスですが。
今回の強烈な怒りに対して、改めてそのしんどさや葛藤をリアルに私の中での実体験として感じることができたんですね。
私はこれまでの人生で、様々な葛藤も怒りも悲しみも苦しみも、それなりに感じてきましたが、心のどこかで、「ここまで辛い思いをして、それで相手の理解ができたところで、それが何になるの?」と何度も思ってきました。
相手の理解をするために、ここまで苦しい思いをしなければならないのならば、いっそ、相手のことなんて理解なんでできなくてもいい。と。
ですが、結局、他人とのコミュニケーションがうまくいかない理由の1つに、「相手の思いが理解できない、共感できない」が故に、「そんなひどいこと言っちゃ駄目だよ」とか、「私にはあなたの気持ちはわかんなーい」などと、簡単に言ってしまい、逆に相手の心を傷つけてしまうケースがあるのです。
それはそれで、言う側の「本音」なので、それ自体に良し悪しはありませんが、言い方によっては、相手は自分の「気持ち」を否定されたように感じ、ますます心を閉ざしてしまう。
あなたも、そんな行き違いを経験したことは一度くらいはあるのではないでしょうか。
しかし、相手の思いを理解しようとすることは、結局、自分を理解することにも繋がっていくのだとも思うのです。
相手のことを理解する前から、「わかんない。信じられない。そんなこと思うなんて」と跳ね除けてしまい、中には嫌悪感を抱くことだってある。
それはそれで、自分もイライラするという「おまけ」がついてくる場合もあるのではないかと。
自分の価値観と相手の価値観は違うから、「相手の考えそのもの」を肯定しましょうということではありません。
相手が、怒りや悲しみを抱く「権利」。
それは、誰にも邪魔できるものではないし、正す必要があるものではないのです。
ならば私は、ある意味、「失敗」ともいえる出来事から学んだことを、いつか必ず、同じように苦しんでいる「誰か」に、役立てていきたい。
私が学んだことを、誰かの心の安らぎのために、お返ししたい。
そんな風にも思った貴重な出来事でした。
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