昨日は、私の勤務する病院で、がん患者会の第2回を開催しました。
当院で治療を行っている癌は、肺癌、乳癌、消化器癌です。(婦人科や泌尿器科などはないので)
今の病院に勤めだして3年。
前から、がん患者さん同士が抱える想いを語り合う場を!と思っていました。
思ってはいたものの、なかなか形にするのは難しいものですね。
病院というシステムの中にいると、色んな会を立ち上げたり、催したりするにも全て、病院長の許可などが要ります。
病院という看板を背負って会を催すには、予算や運営など種々の問題が出てきますので、有志の会ですべてボランティアという形にすることにしたんです。
きっかけは、自分が外来で見ていた60歳の肺癌の男性患者さん。
最近はご存知の方も多いとは思いますが、抗癌剤治療は外来で行うことが増えてきているんですね。
外来で治療が行えるほど、抗癌剤自体も副作用を抑える薬も進化してきたり、病院側も入院費用をかけずに治療できるメリットがあったり・・・と理由は色々です。
昔は長く入院治療していたので、同じ病室の患者さん同士でよく情報交換をしていたようですが、外来に治療が移行していったために、あまり同じ病気の患者さん同士が知り合う機会がなくなっているようです。
それでも女性は基本的にお話好きですから、自然と患者さん同士で話をしたり集まったりしているようですが、男性は基本的に無口な人が多く、それを支える奥様も困っていたようでした。
「先生・・・・
同じ病気で治療しよる人たちは、どがんしよっとだろか・・・・」
「うちの主人はイライラしてあたられるんですけど、うちだけでしょうか?」
こういう想いを抱えている患者さんは、きっとたくさんいるはず!
今年2月に一念発起し、患者会をたちあげて第1回を開催しました。
私が中心となってやってはいますが、緩和ケアのDrや多くの看護師がサポートしてくれており、いい会になってきているようです。
残念ながらこの患者さんは第1回には参加して喜んで帰った行かれたものの、第2回前にお亡くなりになってしまい、今回は参加できませんでした。
もちろん、この方は私がみとりました。
参加してくれる多くの看護師も、患者さんの生の声を聞くことを、非常に楽しみにしていたようです。
なかなか普段の診療時間には、腰を下ろして、ゆっくり話を聞く時間は取りづらいもの・・・・
患者さんの話に涙する看護師も多数。
皆この会をまたいい勉強に、普段接する患者さんへ還元していきたいという、熱い看護師達です。
会自体は患者さん同士が交流することを目的としているので、私たちスタッフはあまりしゃべりません。
民間療法や間違った方向に話が進もうとする時に方向を修正したり、話題に詰まった時にうまく会話をコントロールしたりする役目なのですが、患者さんたちは皆明るい
こちらが反対に励まされたりして。
涙もありましたが、1時間半にかなり笑いがありました。
勿論、そのような心境に至るまでには、それぞれの患者さんの中で葛藤が日々あったのだろうと思います。
勿論、今でも葛藤の日々だとも思います。
手術や抗癌剤で完治する癌もありますが、一生癌とお友達でいないといけない癌もあります。
それでも生きる意味を探し、みつけ、生きる喜びを日々感じ、
そして時には病気や副作用に苦しみ、
仲間の死に苦しみ、
皆さん毎日を過ごされています。
癌を笑い飛ばせ
癌とは一生のお付き合いだから達観しろ
なんてことは言えません。
でも、笑ったり、泣いたり、悲しんだり、怒ったり
なんて人間らしい、
ステキな人たち
ステキな日々なんだ
と思います。
癌も悪い病気というだけじゃないかもしれません。
今後も、こういった方達のサポートが出来ていけば、嬉しく思います。