「癌ですね」

いきなりそんな言葉を浴びせたらしい。

言われてから1週間。彼女はみるみるやつれて行き、青白い顔になって

しまった。


確かに個人情報だし、おまけに「ガン保険」の売れ行きも良い事もあり、

直接、その本人に伝える、というのは分からないでもない。

でも・・・。


もう少し、マシな言い方やら、伝え方ってなかったのだろうか・・・?


彼女は「奥歯のかぶせもの」が取れた上、「口の中のやけど」をしたので

ある歯医者に行った。でも、そこのドクターは彼女の口の中を覗き込む

なり、「癌ですね」と言ったのだ。


彼女は夫と死別し、随分と長い間一人で生きている。数年前母親を

看取ってからは同居の家族はいない。遠くに弟がいるだけだ。


大きい病院での精密検査を受けるための「紹介状」をもらっただけで

「かぶせもの」はしてもらえず、自分で予約を取り、1週間後、彼女は

一人で大きい病院に行った。

ところが・・・。

幸い、というべきか、その歯医者の「勘違い」いや、「誤診」だった。

彼女はかぶせものをしてもらい、帰宅した。


「ガン告知」って、最近のドクターの中には結構ドライな感じでする人が

多いそうです。

でも・・・。

「ガン」=「死」って感じる人も少なくないと思う。