再び慌ただしい毎日が始まった。
あれからひーちゃんの体調は落ち着いていて元気な日々を送っている。
お義母さんとのお留守番も嬉しいみたいですっかりおばあちゃんっ子なひーちゃん。
私はというと、朝は早起きしてひーちゃんの世話をして、自分の支度も整えて、それから潤くんを起こしてちゃんと顔を見て会話をしてから仕事へ出かけるようにしてるの。
小さなことを気にしだしたらきりがない。
とは言え、私はすぐに気にしてしまう性格なんだけれど。
「おはようございます。」
“彩さんおはようございます。”
「梨紗ちゃん今日少し早くない?何かあった?」
“あ、全然大丈夫なんですけど、少し仕事がたまってるので片付けようと思って。”
「私も手伝うよ?何からすればいい?」
“じゃあこれお願い出来ますか?”
「もちろん♪」
もしかして私が前にお休みした分のしわ寄せが今になって来ているんじゃ…なんて少し気になって、私も急いで目の前の書類を片付けたの。
二人で集中してやればたまっていた事務仕事なんてあっという間に片付く。
今日は生徒さんの予約も少ない。その代わり夜に集中しているのだけれど。
後ろでは先生方が数人、コーヒー片手に談笑している。
何だか今日はのどかだなぁ。
“手分けしてやれば早いですね~助かりました。”
「良かった。梨紗ちゃんお昼どうする?良かったら今日一緒に行かない?この間のお休みのお詫びって言ったらあれだけど…ご馳走させて?」
“そんな、ご馳走だなんて悪いですよ。でも一緒にランチはいいですね♪一緒に行けるなんて滅多にないですもんね。行きましょ行きましょ♪”
そうして私たちは、先に休憩に入っていた西条さんたちと交代でランチに出かけた。
行き先は梨紗ちゃんオススメのカレー屋さん。
うちのビルの裏手の通りを少し歩いたところにあって、私は今まで全然知らなくて。
「ここ、初めて来たよ。こんなところにお店あったんだ?」
“穴場なんですよ~”
店内に漂うカレーの香りは食欲を誘う。
「すごいお腹空いちゃった。何にする?どれがオススメなんだろ?」
“これ絶対オススメですよ~あとはこれと、これも美味しかったです。”
二人でメニューを覗き込んでワイワイしながら選んで。
注文を終え、今か今かと待ち望んでいたその時だった。
‘あれ?もしかして…’
振り返ると一人の女の人が立っていた。
‘もしかして…亮太さんの?’
「えっ?」
‘ごめんなさい、私以前お会いしたこと…佐伯先輩のお姉さんじゃ…?’
ああ、確か亮ちゃんの部下?後輩?
同じ会社の猫なで声のあの子?
すっかり忘れていた顔を思い出すのに苦労するくらい全然覚えてない。
「どうも…ハハ」
‘偶然ですね。こちらよく来られるんですか?’
「いぇ、私は初めてで。今日は連れてきていただいたので…」
‘そうなんですね~ここ、すごく美味しいんですよ。ここ、私は亮太さんに教えてもらって。それ以来ハマっちゃって。’
そうですか…ハハ
‘もしよかったらご一緒してもよろしいですか?’
「…」
‘お邪魔ですか?’
「いぇ、そんな…じゃあ…どうぞ。」
梨紗ちゃんごめん。
って言うか、私の返事を待たずに隣に座ってるんだけどね。ハハ
チラッと横目で梨紗ちゃんを見ると若干顔が曇ったのがわかった。
本当ごめん。
‘亮太さん、本当素敵ですよね。いつも助けてもらってるんです。’
「そうですか。」
‘本当にお姉さんなんですよね?嘘じゃないですよね?’
「嘘じゃないです。」
‘小さい頃の亮太さんってどんなでした?’
ああ、本当梨紗ちゃんに申し訳ないなぁ。
本当にごめんなさい。
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久々の更新ですみません(^_^;)