楽しくご飯を食べて、お店を出るまで。
チャニョルとは1回も目を合わせないまま。
そっちが怒ってるなら、私だって。みんなにはわからないように、会話だけはしてたけど。
お互いに避けてることは、お互いにわかってる。
すでに眠そうなカイくんを、見て。
チャニョルが「ヒョン、送ってあげて」とスホオッパに頼んでる。
「ふたりも一緒に乗ったら? あ、チャニョルは車あったっけ」
「はい。ギョンスは俺が送りますから。・・・カイ、もう寝てるし」
チャニョルの言葉に、カイくんを見ると。
店の外のベンチに腰かけてうとうとしてる。
ホントだ、と呆れ顔のスホオッパは、チャニョルに私を頼むと言い残して。
寝ぼけてるカイくんの肩を抱いて、車に乗せた。
「行った・・・か」
ふたりが乗った車を、見送って。
並んで立っていたチャニョルが、ゆっくりと私のほうを見る。
視線には気づいてたけど、私、まだ怒ってるんだから。怒ってるのはそっちなくせに。
理由を教えてくれないなんて。
「帰ろう、ギョンス」
有無を言わさず私の肩を抱く、チャニョルの。
腕を振りほどく。
「大丈夫よ、ここからなら歩いても帰れるもの。何を怒ってるのか教えてもくれないのに、一緒になんか・・・帰れない」
さよなら。言って歩き出す私の、後ろを。
ずっとついてくる。・・・かと思えば、私をほんの少し、追い越して。
気に入らなくて立ち止まると、真似して立ち止まる。その繰り返し。
「・・・もう!」
怒って見上げると、チャニョルは少し寂しそうな顔で。
「・・・ごめん」
「なんで、怒ってるの?」
聞けば、唇を歪める。言いたくないときの顔。じっと見つめる。
不意に、その腕に抱きしめられて。
びっくりして体が固まる。いつものじゃれあいとは違う抱きしめ方だから。
俺が我儘なだけだよ、と。
すっぽりとその体に包まれながら、聞いた。