昭和の親の「3大決めゼリフ」とは? | 人間の潜在的能力の解放・鈴木清和

人間の潜在的能力の解放・鈴木清和

超深層心理レベルから人生のステージアップをサポートします。カウンセラー、セラピスト歴は28年です。

私のクライアントは、40代〜50代の人が多く、ある程度の「団塊ジュニア」世代が含まれます。この世代の人たちが子ども時代に親に言われた言葉の中で、私が皮肉を込めて「昭和の親の3大決めゼリフ」というのがあります。

 

その1(子どもが苦境や痛みを訴えるのに対して)

「そんなんで死にやしねぇよ!!」

 

その2(子どもが将来の夢を口にした時に)

「好きなことで飯が食えると思ったら大間違いだ!!」

 

その3(子どもが何か不満を口にした時に)

「飯が食えるだけでもありがたいと思え!!」

これにはバリエーションとして

「お前にはこらえ性が足りない!!」

 

これを言われると、子供としては沈黙するしかないという強力なセリフです。

 

それでは、その世代の親たちは、ガサツで共感能力が足りなかったのかとも感じるかもしれませんが、そうとは限りません。その親たちもまた、その親たちにそう言って育てられた可能性があります。

 

それでは、その親たちのそのまた親たち、つまり祖父母はどんな時代を生きたのでしょうか?

 

その多くは戦中、戦後にまたがって生きた人たちです。一体どんな体験をしたのでしょうか?

 

一例として、私が聞いた話にこんな話があります。

 

終戦を迎えた後、両親も兄弟も家も失った戦災孤児が日本で約12万人もいたそうです。彼らは行くあてもなく夜になると駅の構内に集まってきて寝泊まりしたそうですが、朝になると何人かが死んでいたなんていることも珍しくなかったと言います。

 

とにかく食べるものがなく、親たちは、必死で闇市などで食料を確保しに行くのですが、子どもがひもじくて泣こうものなら引っ叩いて黙らせるしかなかったというケースもあったようです。また、どんな仕事であれ、生き延びるためには仕事を探す必要もありました。そして辛くても歯を食いしばって生きるほかはありませんでした。

 

こんな話を聞くと、ブラックジョークのようにも聞こえる昭和の親たちのセリフが、リアルな現実味を帯びてきます。そのまた親の世代のリアリティとして、生き延びるためには、耐える力が何より必要、生きているだけでも、食べ物にありつけるだけでも、仕事があるだけでもありがたいと思って生きなければならない、こんなふうに考えて生きてきたのではないでしょうか?

 

こんな時代では、心の痛みなど感じているわけにはゆかなかったでしょう。特に自分の心の痛みは無視するほかなかったのかもしれません。

時代をはるかに下り、経済的に繁栄した日本では、ひもじいとか暑いとか寒いとか、そういうストレスからは解放されてきました。そうなると、むしろ心の痛みがより大きなウェイトを占めることになります。

 

それでも、代々無意識のうちに継承されたのは、厳しい時代の価値観です。

 

そこで、子どもが親に期待し要求することと、親が子供に期待し要求することの間には、非常に大きなギャップが生じることになります。しかし、子ども時代にはそんなことは分かりません。

 

ですから、親が伝えようとしたメッセージを子ども時代に履き違えて受け取るということも起こりがちです。自分が大切に思われていないと感じてしまうのす。

 

統計的に最も多くの人から検出されたスキーマ(思考の枠組み)の内容は、「私の気持ちや感情は無視される」というものですが、似たものに「私の要求や欲求は無視される」とか「私の痛みや苦しみは無視される」などがあります。こうしたスキーマを持つ人は、そもそも人に期待しない、一人で問題を抱える傾向があり、話をして通じないと感じるとすぐに「もういい」と関係を断ち切る傾向があります。一見深刻な問題に見えないのですが、仕事や恋愛、夫婦関係など至る所に影を落とします。

 

この間話題にしてきた禁止令や拮抗禁止令(サイレントリミッター)では、「存在するな」「自分の意思を持つな」「好きなことをするな」「勝手に動くな」「いつも我慢しろ」「不満を持つな」「人に頼るな」などが多く見られます。

 

スキーマや禁止令・拮抗禁止令は、特定されて、本人が了承すればキャンセル、書き換えは簡単です。しかし、深く納得するということが重要なので、私のカウンセリングでは、子ども時代に親との間でどんなことがあったのか、それは客観的にどういうことだったのか、その親たち自身はどんな育ち方をしていたのかなど、歴史的構造、いわばファミリーヒストリーの解き明かしも行います。

そしてその時、あなたの歴史は変わり始めます。

 

心の奥に潜む課題に向き合うためのきっかけとして各種無料診断をご用意しています。どうぞご利用ください。

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