巻頭の中條氏の言葉が熱い。


勝者の手で歴史は綴られるという教え通り、彼らの手になる

「太平洋戦争史」をあらゆる機会を捉えて日本国民に叩き込んだ。

陸戦法規を違反してまで軍事法廷を開き、7人の首を切った。

捕えたのは昭和天皇の誕生日、裁いたのは彼らのうち6人がかつて

学んだ陸士の講堂。首を絞めたのは今上天皇の誕生日という残酷さ

であった。日本の全ての否定であり、再びアメリカに抵抗すること

のない日本づくりであった。

約5世紀に及んだ植民地化から唯一堂々と生き抜いた我が民族の

美質をすべて消すことが占領の課題であった。

個の尊厳を強く主張し、公を忘れ、権利の主張専らにして義務を

疎かにするなど、我が民族が営々として築いて来た美質は音を立てて

崩れていった。

佐藤一斎は説いた。

「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うる事勿れ。只一燈を頼め」

暗夜のような戦後の日本が半世紀以上も続いて来た。嘆いている

だけでは全く解決にならない。志ある人たちよ、一燈を提げて

進もう。やがて万燈になってこの国を照らしてくれる日が必ず

やってくるはずである。