「らん・・・・・」

 

声をかけようとして・・・

その後になんと言っていいのか分からなかった。

 

明日の誕生日、テーマパークに行こう、って約束してた。

おともだちが行っておみやげをもらったり。

おともだちからいろいろ話を聞いてて。

ずっと行きたがってた。

ただ僕と誰かの休みがなかなか合わなくなってて。

らんと2人で出かけるのはやっぱり大変だから。

大人2人で、って考えたら結局、行けなくて。

 

でも、誕生日プレゼント何がいいかな?ってらんに聞いたら。

テーマパークに行きたいって言われから。

誕生日を休みにしてもらって行くことにしたのに・・・

急に入った仕事。

こんな時・・・・替えの効かない仕事はツライなって思う。

 

らんはものすごい楽しみにしてた。

僕も・・・楽しみにしてた。

僕は初めてじゃないけど、久しぶりだし。

らんとガイドブック見ながらどうやって回ろうか?って話したり。

松潤にオススメコースを教えてもらったり。

 

 

「らん・・・・」

 

かける言葉が見つからなかったから抱きしめようとした。

らんが思いっきり体をよじって僕の腕から抜けだした。

バタッと倒れるように床に体を投げ出して大暴れする。

額をゴンゴンと床に打ち付けて、手足をバタバタと振り回す。

このままじゃ、らんが怪我をしちゃう!

しゃがみこんで暴れるらんを抱き上げた。

僕の腕の中でもらんは暴れた。

らんの体を考えて抱き上げることを優先した。

しゃがんだ体勢のバランスがうまく取れてなかった。

暴れまわるらんは普段よりずっと重く感じて。

グラっと体が揺らいだ。

あ、っと思った時には体が倒れてく。

しゃがんだ体勢じゃ踏ん張りは利かなかった。

らんをかばって体をひねりながら床に倒れこんだ。

思いっきり右肩をぶつけた。

息が止まりそうなくらいに痛みを感じた。

 

 

「うっ・・・っく・・・」

 

それでもらんを離さなかった。

僕の体の上にらんを乗っけるように寝っ転がる。

暴れ続けるらんを左腕で抱きかかえる。

手が触れるところをトントンとリズミカルに軽く叩く。

らんの名前を呼びつづけて。

 

 

「ママはね・・らんのこと大好きだよ」

 

らんのつむじのあたりにキスをする。

少しずつらんの泣き声が小さくなっていく。

時々しゃくりあげるような泣き声だけになって。

そのうち、寝息に変わったようだった。