「左腕から抜いて。次に頭。最後にこっちの腕通します」

 

上半身裸になってテーピングを巻いてもらう。

なんか、ぐるぐる巻にされるから、肩の辺りがやけにゴツくなる。

アイシングもその上に固定されるからなんか武器でもつけてそう。

岡田みたいだな・・・って思って。

思わずくすっと笑いが出る。

 

 

「笑うなんて、少し余裕が出てきました?

固定すると痛みが落ち着きますよね?

鎮痛剤と抗炎症剤を持ってきてます。

とりあえず、今夜はこれを飲んでおいてください。

明日の朝、病院を受診できるように手配します。

明日の夜の出演についてはその結果次第です。

骨の異常がなかったら、痛みはなんとかします」

 

頼もしい。

ずっとお世話になってる先生だから。

安心して任せられる。

 

 

「ありがとうございました。

明日もよろしくお願いします」

 

着てきたTシャツは着られないから。

羽織ってきたシャツを片袖だけ通して。

前を軽く合わせた。

 

パーテーションから出ると、すぐにマネージャーが近付いてくる。

 

 

「明日の朝9時にお迎えに上がります。

そのままいつもの病院に行って、まずレントゲンです。

今日はこのまま帰りますか?」

 

僕が先生に見てもらってる間に明日の手配をしてくれてたみたい。

 

 

「ありがとうございます。

ちょっと相談したいことがあるので・・・

送りはもうちょっとしてからお願いします。

申し訳ないんだけど・・飲み物買ってきてもらえる?」

 

やけに喉が乾いた。

体も熱く感じる。

こんなにアイシングしてるのに。

 

もしかして、今夜は熱が出るかも。

もう出てるのかも?

らんのお世話はシッターさんに泊まりでみてもらうことにして。

僕も誰かに手伝ってもらわないと・・・

どうにもならないかもしれない。

 

みんなが振りの確認をしている間。

スタジオの片隅に置かれた休憩コーナーでシッターさんに連絡を取った。

今夜このまま泊まりからの明日一日の依頼。

ありがたいことに依頼を受けてもらえた。

 

普段、昼間は保育園に行ってるから頼むことが減ってて。

もしかして空いてないんじゃないか、って思ってた。

一応、専属にはなってもらってるけど・・・

プライペートで予定入れることもあるだろうしね。