「らん!ご飯の前のお菓子はダメだよ。

お腹いっぱいになって、ご飯ちゃんと食べられないよ。

食べるなら、ご飯の後であげるから。

ちゃんとご飯食べるおやくそくだよ?」

 

「おやくそく、やだー!

らんはいま、おかしほしいの!」

 

 

 

「歯磨きするよー

ここに寝っ転がって」

 

「やだー!はみがききらい!」

 

「寝る前には歯磨きするおやくそくでしょ?」

 

「おやくそく、やだー!」

 

 

一つ一つは些細なことなんだけど。

おやくそくを守るように諭すと癇癪を起こして泣き喚く。

床に転がって、僕が折れるまでずっと。

 

そんな癇癪を起こした日の夜は夜泣きもするようになった。

寝ぼけて泣くらんは僕にしがみついて、離れようとしない。

他に誰かがいて抱っこを代わってくれようとしても・・・

ものすごい力で僕にしがみつく。

引き離そうとすると、さらに泣き声が大きくなる。

 

 

日常生活の中のやらなきゃいけないことは“おやくそく”として。

習慣化していた。

それがうまくできなくなって・・・

とにかく手がかかる子になってしまった。

こんなんじゃ、犬を飼い始めるなんて、無理。

らんがちょっと落ち着くまで、うちに来てもらうのは延期にすることにして。

相葉くんの家で預かってもらうことにした。

 

ある日、子犬のことを忘れてなかったらんにいつ来るの?と聞かれた。

 

 

「ワンちゃんね・・・今は無理。

ママ、子犬のお世話までできないよ。

もうちょっとしたら・・・ね」

 

「おせわなら、らんがするから!

はやくつれてきて!」

 

「むりだよ・・・」

 

僕は困ってしまった。

らんに手がかかるから、子犬までは無理って言えないから。

言葉を濁して誤魔化そうとしてたら・・・

らんは癇癪を起こした。

 

 

「ママのいじわる!ママはらんのことがきらいなんだ!」

「そんなことない!だいすきだよ!」

「うそっ!うそだもんっ!きらい!だいきらい!」

 

どうなだめても、ダメで。

らんはそのまま泣き寝入りした。