白菜と豚バラ肉を交互に鍋に並べていると翔くんが茶々を入れる。

 

 

「別にそんなキレイに並べなくてもいいんじゃない?」

 

「ま、味に違いは出ないかもしれないね」

 

たまに早く帰宅出来た時には夜のんびりしたいんだろう。

翔くんはすでにシャワーも浴びてて。

テキトーに並べるのを終わらせて、鍋を火にかけた。

 

 

「後は待つだけ」

 

まくっていた袖を下ろすと、翔くんが嬉しそうに寄ってくる。

後ろから腰を抱かれ、首筋にキスが落とされる。

翔くんの、やる気まんまんだな。

でも、これから飯だからな。

後ろを振り向いて、軽く口唇を合わせてから腕から抜け出す。

 

 

ビールも準備して、いざ、食べようと乾杯した時。

 

 

「28年おめでとう。・・・と、ありがとう」

 

「・・・ありがとう、ってなんだ??」

 

入所記念日を祝うのは、同期同士ではよくやるけど。

 

 

「だって、さ。この日がなかったら、俺は智くんに会えなかったわけだし。

こんな時間を過ごせるようになることもなかったんだし、ね」

 

「それなら・・・結成記念日にありがとう、じゃない?

もしも、あの時、僕が事務所を辞めてたら。

デビューを振りきって逃げ出してたら。

こんな時間はなかっただろうね」

 

「智くんが逃げ出してたら、俺も逃げ出してた。

俺だって、辞めるつもりだったから。

今の形の嵐はなかったよ。

でもね・・・その時には、俺はもう智くんに出会ってた。

嵐として過ごすことがなくても。

きっと智くんから離れることはできなかったよ。

今と全く同じような時間は過ごしてないかもしれないけど・・・

でも、智くんと共に生きる人生には違いないことを確信してる。

だから、出会うきっかけになった入所記念日には感謝したい」

 

そう言って、翔くんはまたビールのグラスを目の前に掲げた。

 

 

「乾杯」

 

テーブルに置かれたままの僕のグラスにカチンと合わせる。

 

 

僕も。

翔くんの入所記念日には感謝してる。

その日がなかったら、出会えなかった。

 

ああ、どうしよう。

無性に翔くんとキスしたい。

キスして抱き合って。

翔くんに出会えたことに感謝して。

今のこの時間があることを。

翔くんと過ごせることを。

気持ちでも体でも・・・思う存分味わいたい。

 

 

「そんな顔しないで。

せっかくの鍋、食べなきゃ」

 

ビールのおかわりを取りに行くように見せかけて。

翔くんは僕の口唇と心を奪っていった。

 

 

 

 

その日、長くなった夜を僕たちは存分に味わった。

 

 

☆★

 

ちょっと遅くなりましたけども。

大野さん、入所28周年おめでとうございます!&ありがとうございます!

 

昨日、あちこちの記事でお祝いしてるのを読みまして。

遅ればせながら、参戦!

 

便りがないのは無事な証拠。

きっと元気に過ごしてるんだろうなぁ、って思ってます。

 

パグちゃんとのお散歩とか、釣りとか、絵とか、料理とか。

楽しむ時間いっぱい取れてるかな。

できたら、休止期間中に作った料理の本でも出してくれないかな?(笑)

 

 

タイトルはこの楽曲を使ったCMを思い出して、です。

嵐が嵐じゃなかったら、みたいなテーマのCMでした・・よね?