「もちろん。
見ててもらおうよ。
結婚の誓いと指輪交換」
「結婚の誓い?」
「結婚するとね、みんなの前で結婚式を挙げるんだよ。
その時に互いに誓うんだよ」
俺はスマホで誓いの言葉を調べて画面を見せた。
「こういうの。
天のお姉ちゃんたちに見てもらって、誓い合おう」
「うん・・・ありがと・・・翔くん」
サトシが俺の膝に乗って、抱きついてきた。
大好きする、と言ったサトシからのキスを待っていると。
「あ、お姉ちゃんたちだ」
雲の切れ間から一筋の光が窓に差し込んできた。
床にまで届いたその光は七色に輝いている。
そこに確かな存在があるわけではないけれど。
何かが在る、と感じられた。
「お姉ちゃん!来てくれたの?」
サトシの顔がパーッと明るくなった。
膝から下りて光に近づくサトシを追った。
テーブルの端に置いてあった紙袋から指輪のケースを取り出した。
蓋を開けて、テーブルの上に置く。
「サトシ。お姉ちゃんたちの前で改めて誓おう」
サトシと手をつないで、七色の光の前に立つ。
スマホの画面を見ながら誓いの言葉を2人で読み上げていく。
まず俺が。次にサトシが。
一つ一つを読み上げていくうちに自然と向き合う形になる。
七色の光を横から受けているサトシは天使の頃の姿を思い出させる。
読み終わって、誓いのキス。
「好き、のにしようね」
お姉ちゃんたちの前だからね。
頬を赤らめたサトシがコクンと俯いた。
顎を掬い上げると目を伏せる。
好き、のに、と言ったのに。
やっぱりサトシへの愛おしさが抑えきれない。
好き、だけじゃ収まらない。
大好き、になってしまった。
「翔くん・・・大好きした・・・」
トン、と俺の胸を打った。
その手を取った。