帰宅後に急いで作ってくれたのは、オムライスだった。
サトシが初めて俺に作ってくれた料理。
料理の腕が上がって、レパートリーが増えた今では時々しか出てこない。
俺たちにとってはとっておきのご馳走で。
結婚した日の夕飯にはぴったりのメニュー。
いただきます、と手を合わせて食べ始める。
もぐもぐとしながら、サトシが左手を宙にかざして指輪を見る。
「んふふ」
「ん?どうしたの?」
「んとね。今日、お客さんにいっぱいおめでとうしてもらったの」
「そうか。お祝いしてもらったの、嬉しいね?」
「うん!」
「じゃあ、いっぱい仲良ししないとね?」
「んふふ。ずっといっぱい仲良ししてるよ?」
不思議そうな顔をするサトシがキラキラと輝いて見える。
きっと、天から何かが降ってきてるに違いない。
いつも綺麗なのに。
もっともっと綺麗に見える。
サトシの頬を指で撫でたら、俺の指もキラキラと輝く。
ああ、俺にも天からの何かが降ってきてるのか。
サトシの伴侶として。
認められたということなのかもしれない。
サトシが俺のところに落ちてきてからの日々は・・・
伴侶として相応しい人間なのか?
ジャッジされていたのかもしれない。
風呂場でもサトシの姿はキラキラと光を全身に纏っていた。
あまり明るくないはずの風呂場がいつもより明るい。
狭い浴槽にサトシを背中から抱えるようにして浸かる。
繋いだ手でカチンと指輪同士が鳴った。
「んふふ。指輪も大好きしてるのかな?
翔くん・・・大好き・・しよ?」
振り向いたサトシにキスをする。
誓いのキスよりも、もっともっと・・・
深くて熱くて。
抱えたサトシをベッドに下ろす。
全然重さを感じないのは、天使の頃とちっとも変わらない。
ふんわりと降りていくのは・・・・
サトシがベッドへ降りることを望んでいるからだと思う。
「サトシ・・・もっと大好き・・・しよう。
今夜は結婚して最初の夜。
ずっと一緒にいようと誓った日。
天のおねえさんたちの前で誓ったけれど。
サトシに誓うよ。
ずっとずっと大好きで、もっともっと大事にする」
「僕も・・・翔くんに誓う。
大好き・・・もっともっとたくさんの愛を・・・
翔くんと・・・僕たちの子どもに・・・」
コロンとサトシの目から石が転がり落ちた。
次々に転がり落ちていくサトシの涙は光を反射してキラッと輝いた。
指先で石を弾いて。
サトシに覆い被さった。
首にサトシの腕が巻き付いて、引き寄せられると。
不思議な力で引き寄せられて。
唇が合わさった。