それからの俺たちの生活は何かが大きく変わったということはない。

でも何一つ変わらないわけでもない。

 

 

 

たまごがやってくる頻度が上がって。

それに対するご褒美なのか?結婚したことによる変化なのか?

サトシに聞いてもはっきりとはサトシにも分からないことだけど。

俺たちの子供たちの姿を見られるだけでなく、触れ合えるようになった。

 

俺と違ってサトシは天にたまに帰ることがあったのか?

慣れた様子で小さな俺たちの天使たちと遊んでいる。

 

 

「んふふ。そんなことないよ。

翔くんのところに落ちる前までは小さい子たちとよく遊んでたから。

慣れてるだけ」

 

そういうと、おすわりをしている一番小さい子を抱き上げた。

 

 

「ほら。この子が僕たちの末っ子ちゃんだよ」

 

その小さく柔らかい手が俺の指を握ってくれた時には、涙が溢れた。

 

 

「まんまるの瞳が翔くんそっくりだね?

まあるいほっぺもそっくり」

 

そういうと、俺に抱きかたをレクチャーしつつ、その子を俺の腕に移した。

動いたら、落としてしまいそうで。

どう動いていいか、分からず。

ぴくりとも動けなくなっている俺を見て、サトシが微笑んだ。

 

 

「翔くん、大好き」

 

大好きと言ったのに。

子供たちの前だからなのか?

してくれたのは、大好き、ではなかった。

 

 

「んふふ。それは二人きりだけの時にね」

 

 

 

 

後から思い返しても。

夢の中なのか?現実なのか?が曖昧になっている。

いつでも好きな時に行ける場所ではない。

でも、二度と行けないわけでもない。

 

やっぱり、あの場所に行くことは俺にとってのご褒美だ。

与えられた機会なのだから。

 

その機会が増えたことは俺にはしあわせだってことは間違いない。

サトシも同じようにしあわせだって感じているに違いないと思う。

 

 

その証拠にあの末っ子ちゃんはあっという間に末っ子ではなくなったし。

次々にたまごは俺たちの元へやって来てくれる。

 

そのうち、天は俺たちの子どもたちで溢れかえるんじゃないかと思っている。

 

 

END