おめでとう、とグラスを合わせた。

カチン、カチンと軽く高い音が響く。

 

和やかに食事は進んだ。

酒も進んだ。

 

ほろっと砕けた雰囲気の中で智くんが真っ先に潰れた。

くにゃくにゃになった、その体をラグの上に横たえて。

ブランケットを軽くかけておく。

 

 

「あ〜あ、やっぱり潰れちゃいましたね」 真っ赤な顔のニノが言う。

 

「テンション高かったもんねぇ」 顔色ひとつ変えてない相葉くんが声を顰める。

 

「朝から色々作ってくれてたんでしょ?」 貫禄さえ感じる松潤が微笑んだ。

 

 

今日、みんなで集まれることが決まったとき。

あなたはとっても嬉しそうにしてた。

メニューは何にしようか、どんな酒を準備しようか?

と、浮かれてた。

 

 

軽く髪を梳くと、ふんわりと微笑む。

いい夢見られてる?

 

 

しばらく残った4人で飲んだ。

言葉は交わさない。

もう、このメンツだと言葉は多くはいらない。

いつだったか、ニノがそんなこと言ってたっけ。

 

 

智くんの寝顔を眺めていた。

 

 

さて、と真っ先に立ち上がったのは松潤だった。

「片付けしちゃうからさ、大野さんをベッドに寝かせてきたら?」

 

空になった皿を重ね始めた。

残り二人もテーブルの上のグラスをキッチンへと運び始める。

 

お言葉に甘えて、俺は智くんへ声をかけた。

 

「智くん」

「ん・・・」

 

返事なのかなんなのか?

目は開かないまま。

 

抱き上げると首に腕が回る。

 

 

「片付け終わったら、勝手に帰るわ」

「ありがとう。気をつけて」

 

寝室のドアが閉まると、キッチンでの音は一切聞こえなくなる。

ベッドにそっと下ろした。

眠ってるかと思ってたら・・・

 

首に回されていた腕に力が入って引き寄せられた。

唇が触れ合う直前。

 

 

「きっと大丈夫だよ」

 

智くんが囁いた。

 

急に気持ちが軽くなった。

この人が言うなら、きっと大丈夫。

明日、みんなにも伝えなきゃ。

 

 

きっと大丈夫。

 

初めからやり直せばいいさ

何度倒れても

 

明日の空も晴れるはず