7年前 母のために演奏した
ケルティックウーマンの
〝You raise me up〟


母が病に倒れるまでずっと
もうええ歳の大人になった娘の私は
母の存在を何をするにも頼りにし
いつまでも助けてくれると思ってた
病気になるなんて考えもしなかった
お母さんが病気やったら困るやんって
もと通りになってよって
以前と同じ
ふじこを守ってくれる何でも相談できる
親友のような母に戻って欲しくて仕方なかった





その思いとは反対に母は
心も体力も食欲も意欲も減っていった
その姿を見たくなくて
逃げていた時期もあった

神戸に帰れないんじゃなく
弱っていくのを見るのが怖くて
帰りたくなかったんと思う

いろんなことが難しくなっていく母を
受け入れることが出来んかった
弱気な発言に苛立つことさえあった




ふじこたち姉弟が立派に育ったから
もう、役目も終わったの

母が穏やかな口調でそう言ったとき
ふじこは初めて
強くなりたいって思った
強くなるんや、なろうって決めた





〝あなたがいてくれるから私は強くなれる

自分を超えていける〟


この曲のこの歌詞を
何回も何回も繰り返しながら練習した
西脇まで聴きに来るのは無理かもと諦めていた母が
当日演奏後、舞台下まで近付いて来て
プレゼントを手渡してくれた

控え室まで戻る間、涙が止まらんくて
控え室でもまだいっぱい泣いた
この時が
今度は私がお母さんを支える番、になった時やと思う




四十九日を終えて改めて
私の中に母がいることを感じまくっている
姿はなくとも
ふじこの心に声が聞こえて
大丈夫、と背中を押してくれる

あなたがいてくれるから私は強くなれる
ふじこはふじこを超えていける




神戸からの帰り道
そんなことを思い出しながら走った

神戸につつむで帰って来れるなんて
私すごいよね
頑張ってるよね
えらかったよね
お母さんの自慢の娘やんね

ねー!
おかーさーん!