岐阜で行われた、スポーツライター・小説家の小宮良之さんの講演会に行ってきました。

 

今までにないスタイルで情景をありのままに描き、できるだけ生っぽく書く。

皆さんが作り上げた物語を僕はただ拾っただけ。

それを皆さんが感動してくれて、僕はそれに感動した。

 

フィギュアスケートぴあの全日本選手権特集号の表紙、

世界選手権記者会見の最後、上を仰ぎ見ている髙橋選手の横顔の写真。

これを採用してほしかったがボツになった。

本当にいい表情ですよね？

（内面のカッコよさが現れた、いい表情の写真だった！

　どこかでぜひ使ってほしい。）

 

インタビューで選手は答えを予め持っている。

髙橋選手の場合は非常にまじめで、いいかげんな答えはしない。

目を閉じてと言っても普通は途中で開けるが、ずっと目を閉じている。

赤ちゃんみたい。

でもこれが巨大なエネルギーの元では。

人に対して柵をしていない。

誰かに対する敵意は全くない。　

善意だけで自分を動かせる32歳ってなかなかいない。

 

ファンの皆さんは、僕を通じて髙橋選手を見てる。

彼の太陽エネルギー、すごくないですか。

こういう人がパイオニアになるんだと思う。

 

道を外したくない。

並んでいたら横が空いていてもそこに行かないと髙橋選手はいう。

要領のいい方がいいかもしれないけど、要領がよかったら伝説は生まれていない。

 

髙橋選手は（こんなすごい選手になった）ロジックがわからない。

（紀平選手は運動能力も高く、恵まれたコーチ、いい先輩後輩がいて強くなった理由がわかるが…）

月からポトっと落ちてきたんじゃないかと。

ロジックはわからなくてもいい。向き合っている姿を描くだけでいい。

 

皆さんは髙橋選手のどこに一番惹かれるのですか？

僕を見て髙橋選手を思い出すぐらい。

皆さんの気持ちは「愛」なのか「忠誠」なのか。

 

彼って一歩踏みこむと親近感が増す。踏み込んでいくと向き合ってくれる。

不器用と言ってるけど、人とのコミュニケーション、どえらいレベル。

おかげでみなさんのような熱いファンができる。

 

曲げないで生きてきたことでもっている。

彼を何かに例えると何ですか？

僕は月と例えた。

太陽みたいにガンガンくるのではなく、いつでもここにいる月。

 

（全日本で復帰を決めた時の話を聞いて）誰かを見て、自分にとりこめる。

すごいなと思って、道を切り開いてきた人間が他の選手のことを

すごいなあと言って。

無邪気、イノセント、純真。

純真な思いが原動力になる。

 

自負心あると思うけど見えない。

マシュマロみたい。

実像って雲の霞。

捕らえられたと思ったけど、軸が複数あるのか。

とらえられないけど追いかけたいと思わされる選手。

 

今までの名声を失う怖さはなかったか、一番聞きたかった。

 

過去は置いてきたというのではなくて、新しく作るというのがすごい。

スクラップアンドビルドができる。

濃密な競技者に出会えて幸せ。

 

僕がすごいと思ったのは、他の男子選手の高橋大輔選手に対する目。

あの伝説の人と一緒にできる。

フィギュアの持っているいい熱というものが全日本で見られた。

 

髙橋選手は性善説、珍獣レベル。

すごいなと　見たことない

選手を今までたくさん見てきたけど。

 

フィギュアは、右足にどんどん負荷がかかってくる。

跳ぶのはうまくなって跳べるが、降りられなくなってくる。

10年が限界、身体もメンタルも。

自分ひとりでスポンサーもファンも背負っている。

1回辞めてもう１回始めるなんてすごい。

 

時代が彼を成長させてきたのか。

2006年トリノ五輪　女子が印象に残る試合

髙橋選手　ギラギラしているように見えた。

競技を続ける中でギラギラしているものが溶けて、

（純粋さが）出てきたように見える。

いや、昔からそうだったとファンの方が言う。

 

質疑応答の後、深々と頭を下げて、

“こういう機会をいただいて、本当にありがとうございました“

と言われました。

 

小宮さんは髙橋大輔ファンの方にお会いしたかったと言う。

私は席がとても近かったので、お話しされている間ずっと

うなずいたり、笑ったりしていたけど、どう感じられただろうか。

文章を書く時と同じで率直にありのまま話されるけど、

偉そうな感じはなく誠実で、髙橋選手と話した時の驚き、

嬉しさ、尊敬の念が溢れていて、聞いていてとても気持ちよかった。

大輔さんの実像がどのようなものか興味がある。

小宮さんは実際に大輔さんの本を書きたいと思っていらっしゃる

そうなので、そこで解き明かしてくれたらいいな。