前回までのインクルージョン雑記は主にインクルージョンの紹介を

させて頂く事が多かったのですが、某SNSでいろいろお話している中で

インクルージョンとなる過程についての問題提起があって、念の為

このブログでもその辺を少々ご説明しておこうと思います。 つまり、

「どういう過程でインクルージョンになるか」ですね。

 

まず前提として。

鉱物とは、一定の化学組成で構成された無機質の結晶質物体です。
「結晶質」という表現ですが、例えば水晶ならば6角柱状の結晶を

しますが石英は透明~白濁していて形も不定形が殆どです。 しかし

鉱物としては同じ物となります。 水晶は理想的に結晶が成長できた

事に対して、石英は周囲の環境によってそうなれなかった・・・でも

水晶と同様の組成で集まった「鉱物」なのです。 こうしたものは

「潜晶質」などと呼ばれます。(など、というのはアモルファス状態

の可能性もある為ですw)

 

水晶であれ石英であれ、鉱物として出来るには周辺環境が重要です。

地下深くのマグマや地表付近(といってもかなり深い)の熱水脈で

珪素と酸素が飽和状態にあると、繋がりやすい姿勢に自然となって

いきます。 それが何億・何兆・・・となった結果が水晶の結晶と

なっているのです。

 

では、その中にインクルージョンが入るというのはどういう事なの

でしょうか?(笑) これは言葉の問題であって、例えば「水晶の

中にデュモルチェ石が入った」と言うと、あたかも出来上がった

水晶にデュモルチェが入り込んだとか、水晶の中で成長したように

聞こえてしまいますが、実は全く逆の過程で生成されるのです。

 

ある鉱物が出来た時またはその後に、その部分が熱水脈と接触したと

しましょう。 この熱水は珪酸を多く含むコロイドで、ある程度の

広さの空間があるとそこで理想的な形で結晶となります。 その際に

上記の「出来上がった鉱物を包むように水晶が結晶する」という事に

なるのです。

 

内包された黒い柱状はトルマリン。 包んでいるのは珍しい形だがベリル。 

画像右側にも内包されていないトルマリンがあるが、出来たのは

トルマリンが先で、その後にベリルの結晶が出来た事になる。

 

石英塊になると、珪酸分が飽和状態であるのに結晶となる為の空間が

なくて、熱水と分離した際に脈を満たしてしまった感じでしょうか。

地質によっても状況は異なるのでしょうが、概ねこんな感じだろうと

思います。

 

ここまで語っておいて何ですが、私は学者でも何でもありませんので

反駁、ご指摘などありましたら是非お願い致します。