今回も結構長いですよ。(笑)

 

鉱物採集、という事はつまり鉱物が採集できる場所に出向いて

自分の手で採ってくるという事です。 可能性が全くないわけ

ではありませんが、普通に考えてビルや民家の立ち並んでいる

街中ではない事は判るでしょう。

 

大抵の産地は旧鉱山や採石場跡、山の露頭や河川などです。

時にはトレッキングや登山に近い感じにもなりますので、まず

装備を整えましょう。 出向く産地の状況にもよりますので、

産地の情報と合わせて足りないものを揃えていくのもアリです。

 

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装備について

 

まず服装ですが、丈夫で汚れても問題ない、尚且つ動きやすい

が望ましいです。 靴はスニーカー等でも良いですが、たまに

思いがけず水たまりや川越えがあるので長靴も視野に入れたい

ですね。 安全靴や登山靴を使う人もいるようですが、結構

斜面に立ったままという状況もありますのでなるべく足首に

負担のかからない靴があると良いかと思います。

 

頭は、理想的なのはヘルメットです。

産地にも依りますが、大抵の場所の周囲には、自分より高い

位置に何かあるです。(笑) 危険性という意味では、安全管理が

されている工事現場よりめっさ高いでしょう。 とはいえまず

動きやすさ・視認性も考慮すると大変です。 何もないよりは

帽子だけでもあったほうが良いかと。

 

後述しますが、ハンマーなどで石を割ったりする場合があると

カケラが飛んできて目に入ったりという事が割とあるです。

普段から眼鏡をしている人でない場合は、度の入っていない

伊達眼鏡とかゴーグルなんかがあると安心です。

 

これも場所によるのですが、できれば真夏でも長袖・長ズボン

して下さい。 石以外にも植物や虫などで怪我をしたりするので

肌の露出は可能な限り少なくしましょう。 あとは、以下にも

紹介するのですが必要アイテムや採集品を携帯するためになるべく

ポケットの多い衣服・ベストなども良いかもですね。

コンビニ袋やバッグなど持っている人もいますが、片手が塞がる

のは移動の際にリスクがあるです。 リュックは両手が使えるので

お勧めです。

 

あとは手袋。 石を扱うので当然必要ですし、現地に向かう際にも

斜面で木や崖に摑まったりしますので素手では危険です。 普通の

軍手でもいいですが、滑りにくく破れにくい物や耐水性のある物が

沢山あるので、産地によって使い分けられるよう幾つか持っておけ

ば安心だと思います。

 

大抵の鉱物産地では、近くにコンビニやスーパー、公共施設がある

訳ではありません。 産地までの移動・採集する時間等を考えると

飲食物トイレなども考慮しておきたいですね。 近年では女性の

方も増えてきたのでトイレは大変だと思いますが、以前お会いした

女性は成人用のオムツしてます。慣れれば何時間でも全然OK」

いうツワモノでした。(笑) 御参考までに。

 

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採集で持っていたい道具

 

・ルーペ 
 1章でも少し触れましたが、ある程度のサイズの鉱物が採れたと

 してもそこに微小なレア鉱物があったりします。 内包物や

 結晶面の確認をしたりと、ルーペは必須アイテムです。

 倍率は10倍程度で充分ですが、虫眼鏡タイプではなく収納型で

 トリプレット(レンズが3重になっている)タイプが好まれて

 います。

 

 収納型のトリプレット。 3つのレンズは固定されています。

 3重にすると、見る位置による収差が低減されるのだとか。


・ハンマー

 落ちている物を拾うだけの様な採集でしたら必要ないでしょう。

 でも、先輩などにレクチャーされたりで実際フィールドに出て

 みると「叩いて割る」という行為が必須なのが判るです。(笑)

 普通にイメージされるハンマーでも悪くはないのですが、石が

 相手の事ですので石専用のハンマーというものがあります。

 採集スタイルや産地の状況にもよりますが、最低でもこぶし大

 くらいの石が割れるハンマーはあったほうが良いでしょう。 

 

 良く使われているロックハンマー。 年期入ってます。(笑)

 柄が木製だと、万一叩き損ねて柄に当たると折れてしまう事もある為、

 柄まで金属製の物のほうが安心ですね。

 

・ライト

 前もって言いますが、廃坑内はどこでも立ち入り禁止です。

 大変危険ですので入ってはいけません。 ライトがあると良い

 のは、現地では結構ちょっとした日陰で良く見えなかったり、

 晶洞が開いた時などライトがあると便利な場面が結構あります。

 また、鉱物種によっては紫外線で蛍光する性質がありますので

 紫外線ライトもあると便利です。 採集時だけでなく鑑賞にも

 使えますね。 安価なブラックライトでも悪くないですが、

 紫外線ライトも長波と短波がありますので、鉱物用のもの

 望ましいです。 最近ではハンディタイプで昼白光・電球光・

 UV短波・長波の切り替え可能な物も売られています。

 

 

 愛用している多機能ライト。 上記のように様々な切り替えが出来て

 USB充電式なので、室内での鑑賞やフィールドでの採集時にも使える

 スグレモノだと思います。 普通の昼白光(強)でも懐中電灯並みの
 照度があると思います。 鉱物という範疇を超えてもなかなか使える

 お勧めガジェットです。  コチラとかコチラで取り扱っています。

 

 

・袋・小箱・緩衝材など

 採集した物を持ち帰る際には必要となる事が多いです。

 綺麗なクラスターをゲットしても、帰りの道中で衝撃にあって

 割れてしまったりしますね。 微小な針状結晶などはどこにも

 触れないようにして持ち帰りたいものです。 1章「何が

 採れるのか」でお話したように得られる物が把握できていれば

 それに見合った保存アイテムを想定できると思います。

 また、現地でのゴミを持ち帰るという意味でも袋は是非持って

 おいて下さい。

 

 昔、ある産地で一緒に採集をした方が超一級品の物を採集されて

 「うわっ、いいなぁぁ」と羨ましく思っていたのですが、後日

 伺ったところでは「帰途の車内に置いておいたら台無しになった」

 という事でした。TT

 かなり極端な例ですが、鉱物は種類によって振動や湿気、乾燥など

 ダメージを受けやすい条件がありますので、前章の知識と合わせて

 出来る限り理想的な形で持ち帰って欲しいと思います。

 

・薬、救急用具

 産地での怪我や急な体調不良に備え、最低でも絆創膏や痛み止め、

 消毒液くらいは持っておきたいですね。 また、自然の中での事

 ですので虫よけなんかもあると良いかと。

 

・その他のアイテム

 産地の露頭や大きな岩から割り採る場合等は、ハンマーだけでなく

 タガネやバールなんかがあると便利な時もあります。 地面を掘る

 際にはシャベル・スコップだったり、土に埋まった物を探すならば

 ふるいがあると良いですね。 これらは勿論度にそろえる必要は

 ないですし、全部持っていく必要もありません 何より採集した

 鉱物も持ち帰る訳ですから事前の荷物は少ないほうが良いですね。

 「次に行く産地はどんな感じの採集になるのか」を把握しておいて

 その都度必要最低限の物を選択するようにしたいものです。

 

例えば砂金を採りに行くのでしたら、良く知られる方法はパンニング

と呼ばれる方法です。 これは金の比重が大きい事を利用して川底の

土砂を水の流れで選別するというものです。 となると、想定できる

のは長靴(場合によってはウエーダー)、シャベル等の掘る物、後は

パンニングで使われる「パンニング皿」などが最低でもないと何も

できません。 勿論、採れた砂金(概ね1mmあるかないかです)を

とる為にピンセットとか、収納する小袋やケースも必須でしょう。

 

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このように、出向く産地の情報を事前に調べておいて必要になる装備を

揃えたいですね。 尚、ダメという決まりはないのですが、電動工具は

流石に使わないで欲しいです。 良い物を採りたい気持ちは皆さんある

でしょうが、あくまで採集という趣味であって、販売目的の採掘・搾取

ではないのだと思っています。 序章でもお話したように、国内産地は

規模が小さいので乱獲=すぐに枯渇となるです。

 

昔聞いた話ですが、とある産地が立ち入り禁止になった顛末です。

元々は許可を貰えば快く入らせてもらえた山だったのですが、掘った

穴はそのまま、ゴミも捨てっぱなし、挙句の果てには重機を持ち込んで

大規模に掘ったとの事。(-_-;)  ね?禁止されても仕方ないでしょ。

 

新たに鉱物採集したいという方には、これまでの(一部の)マナーの

悪い人のせいで貴重な鉱物産地に入れなくなったという事を是非とも

理解して頂いて、将来、自分達のように鉱物に興味を持つ子供達にも

これ以上同じ思いをさせないようにして欲しいと思っています。

装備・アイテムとはちょっと逸脱してしまいましたが、それ程マナーは

重要な部分です。 どうかアイテム選びや使い方等もその辺を意識して

下さい。

 

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第2章としてはざっくりとこんな感じでしょうか。

あとは前章でも書いた通り知識の部分になるので、少しずついろんな

情報を得ていきましょう。 前章では結構「ネットの情報は古い物が

多い」と書きましたが、「~産の~鉱」とかで検索するとその産地の

ものがいろいろ出てきたりするので、特徴を事前に把握する意味では

良い方法かも知れませんね。

 

さて次回ですが、入門編としてはややハードルが上がるかもですが

鉱物を見分ける為の重要ファクターである「結晶」についてをお話し

しようかと思います。

 

気長にお待ちを(笑)