☆プロと素人の差ってなんだろう?

youtubeなんか観てると、若手で誰も知らないような無名の芸人だったり、プロ志望の歌手なんかのパフォーマンスがいっぱい出てくるわけですよ。そして、毎回考えてしまいます。

 

「この人たちとプロって、何が違うんだろう?」

 

歌手の話からいくと、メチャクチャ「上手い」人はいます。仲間内だったら絶賛されるであろう人たちが。カラオケ番組なんかにも、「上手い」素人はたくさん出てきてることを考えても、「上手い」ことは別にプロにのみ与えられた特権では無いと思うんです。

 

ただ、「上手くない」プロも腐るほどいます。というか、「上手い」かどうかで選ばれるなら、もっと適した存在は声楽だったりAVEXの養成所を探せばいくらでも出てきます。昔なんかもっと酷くて、こう言っちゃアレですが大江千里さんの歌唱力でも大ヒットしたわけです(笑)…一応付け足しとくと、自分は大江千里さん大好きです(笑)

 

☆プロに求められるもの

結論を言いますと、プロ志望の若いミュージシャンらを見てると、

 

   「プロというのは『専門性』で評価されるものだ」

 

…ということに対して理解が無さ過ぎるのではないかと思います。基本的に誰かモデルがあって、それを追い求めるようなパフォーマンスが多すぎることを観るたびに感じます。「専門性」とは、言葉通り「その人にしか出来ないこと」なのですが、歌手という職業においては「与えられた曲の世界観をその人に最も適した形で表現できること」だと考えています。プロの歌手において「専門性」というのは歌が「上手い」ことではないのです。

 

そういった意味で、大江千里さんは「専門性」がずば抜けて高いです。あの飾らないダミ声が、曲の世界の主人公が持つ不器用さや、まっすぐ誠実さを見事に表現しているわけです。

 

アイドル集団が昔の名曲を安易にカバーしたのを聴くとなんか哀しくなりますね(笑)お前らファッションで歌ってるだろと。EXILEのATSUSHIみたいな歌い方はATSUSHIがやってるんだから、それを真似しても誰も見向きしません。そいつのために曲を書くくらいならATSUSHIに書きますから(笑)

 

お笑いなんかもそうで、売れない奴らのネタを観てると、明らかに裏に教科書のようなものが見えます(笑)異様なほど整った秩序があって、理屈によって言葉を弾き出してる感じ。お笑いってそういうもんじゃないですよね。

 

さっきの話をお笑いに当てはめると、お笑いの専門性は「与えられたネタの世界観をその人に最も適した形で表現できること」と言っていいでしょう。もっと分かりやすくいうと「自分らのネタを最も面白く表現できること」です。

 

最近は若手の人材不足なのか、教科書通り作った「美しい」ネタをやる一般人みたいなやつもちょっと世に出るようになりました。少し前だとラフレクランとかがそうだったでしょうか。今はどうか知りませんが、こんな奴(イケメンの方)が評価されてしまう時代です。

 

 

こいつ、元アナウンサーであることを目玉商品にしていますが、元アナウンサーであったことが全くネタに活かされていないどころか自己紹介ついでに軽く自慢してます(笑)しかも最も笑いにならない謙虚な感じで。ツッコミのセリフもどこか置きに行った(それでも50点くらいの)フレーズしか使わず、とにかく自分を汚さない姿勢みたいなのが本当に気に食わないですね。

 

さて、こいつの悪口はそのくらいにして、今回言いたいのは「こいつである必要が全くない」ことです。イケメンいじりするなら他のイケメンでもいいし、無難なフレーズを常識人っぽくいうだけなら常識人でもできます。

 

歌手も芸人も「その人にしか無いもの」の魅力をうまくパフォーマンスに活かせたものが初めてプロとしての商品価値を生むということになります。

 

☆活かせているパフォーマンスって?

じゃあ活かせているパフォーマンスって何かというと、現在までで一般大衆に広まり切っているものすべてと言ってよいでしょう(笑)これらは、ほぼ間違いなく独自の魅力がパフォーマンスに出てます。

 

きゃりーぱみゅぱみゅは歌唱力もクソもないですが、あの派手な見た目とあざとい歌い方がコミカルな歌の世界の住人のようです。ミスチルはざらついた声で真っすぐ歌うことで、曲の伝えたいメッセージが違和感なく入ってきます。

 

サンドウィッチマンはまるでキャラクターのようなひょうきんさで、シンプルなネタの面白さを100%引き出します。ザキヤマやフジモンなどの売れっ子が無名芸人のギャグを横取り出来てしまうのは、そいつである必要がまったくないばかりか、売れっ子のが一発ギャグへの「専門性」が高いからです。

 

☆最近の流れはズレてる

最近は芸人、歌手業界も飽和気味のようです。その証拠に、カラオケ受けばかり意識したような歌い方をする奴が「歌手」として多少評価され始めています。教科書通りのことをお行儀よくやった一般人みたいな芸人や、「そーゆーの昔見たから!」って言いたくなるネタをやってる芸人がよしもとからスター候補として担がれている現実があります。この現象は「本当に教科書通りの一般人」しかいないから、その中で「優秀な奴」から選ぶしかないんだろうなと勝手に分析しています。さらに、「見た目がよくないと売れない」なんて分かったようなこと言うやつが一般人の中にも現れるようになりました(自分もこの間生で聞きました)。こんな本質を突いていない言説が浸透することで、受け取り手が本心とは無関係に理性的な判断で評価する危険性を非常に危惧しています。大事なのはパフォーマンスがネタや曲の持つ世界観をどれだけ表現出来ているか、もしくは好きかどうかなんじゃないでしょうか…