2002年、横浜青年会議所で社会起業家の調査研究を担当し、当時はソシオビジネス(今はソーシャルビジネス)と言うものを学ぶ機会に恵まれた。そこで経営の方向性をシフトするような、ユニバーサルデザインの服飾デザイナーとの出会いもあった。

続いて2004年には「ビジネス研修委員会」の委員長を拝命し、迷わず「企業の社会貢献」について取り上げた。当時は牛乳や食肉などを始め、ありとあらゆる企業の不祥事が頻発した時期であり、これからも社会に必要とされる企業であるためには、私たち中小企業も本業を通じて社会に貢献することが重要であるのだ、と言うことを最終的に結論づけた。

10年前、「企業の社会貢献」と言うと、「経営に余裕がある人がやるもの」との理解が圧倒的で、「いいねぇ、余裕があって…」とよく言われた。本当は競争激化、事業領域の見直しや、必要に迫られた業態変革などなど、そこには様々な理由があったのだが、それは無論伝わるはずもなく、一言で終わらされることが多く、辛かった。

10年近く時が経ったが何が変わったか?震災を境として「ソーシャルビジネス」と言うものは明らかに位置づけが変わり、重要性を増した。

その一方で全く変わっていないことも数多くある。今も様々なやり取りの中で、多くの経営者の方々に会うが、複雑な気持ちになることが少なくない。10年前と変わらない状況もまだまだある。

私の考えではCSR、企業の社会貢献は「ボランティア=無償」ではない。余裕があるからやるものであるなら、余裕がなくなったらやめるだろう。利益が出た時(=余裕がある時)だけに寄付をするのであれば、利益が出なくなった時(余裕がなくなった時)に、その社会貢献や支援は終わるだろう。

そうではなく、本業を通じ、小さくても自社にできる社会貢献をして行くことが、継続性もあり、持続可能な支援につながるのではないか。

そしてCSRのもう一つの大きな効果が「人財育成」だ。これはまた別の機会に触れたいと思う。

最後に、これは私が考えたことではないので、いやらしい宣伝と思わないで頂きたいが、弊社社員が考えてくれた「500円プロジェクト」を紹介する。
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これは震災後、私たちのような小さな地域企業は、大きな寄付はできないけれども、小さくても持続可能な支援を行おう、と言う趣旨のもの。ご賛同を得られたお客様の製品一点あたりの売値から500円をプールし、従業員さんが被災地で活動を続ける団体などを自発的に選んで寄付を行うと言うもの。
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このような活動を通じ、地域や社会に必要とされる、人と企業を目指して行きたい。
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