今日は、ちょうど休日で自宅でのんびりとしていた。

そんな日に突然と想像を絶する電話がかかって来た。

兄の奥さんだった。彼女は今、英会話に関する教材を売る仕事をしていた。彼女からの電話は、その英語教材を私に買わせるためのセールスをして来たかと思っていた。

 

ところが、全然違うのである。

彼女は、私に彼氏がいないことを知っていたのでお見合いを勧めて来たようでもあった。

 

彼女の話をよく聴いてみると、医師や弁護士、それに大学教授などの男性たちと知り合うきっかけが掴めるので、是非そのパーティーに来ないかどうか聴いて来た。そして、もし、よかったらその会に入会した方がいいと言う。私はあまりよくわからなかったので、両親に相談してみることにした。

 

 

お見合いだった場合は、1対1で会うのが普通なのに医師や弁護士、大学教授など大勢いる男性たちと何故会う必要があるのだろうかと、両親は考えていた。

 

 

確かにそうだ!お見合いや彼氏の紹介であった場合は、1対1で会うのが当たり前だと思う。

よく、わからないので彼女に再度電話をして確認をしてみることにした。すると、彼女は大勢の男性がいるので、そのなかで気が合った人とデートをすればいいのよと言うのである。

 

 

え!それじゃ!お見合いとも違うじゃないと思った。

 

 

彼女が言った通りに両親に話すと、気の合った人とデートするのなら、今流行りのデートクラブみたいなところかもしれないとの結論になった。このことを勧めてきた彼女に兄は知っているのかどうか聴いたところ、兄も承知していると言うのだ。

彼女は、何とか私がそこの会員になるようにしつこく勧めて来る。

 

 

後で、友人などから聴いた話だが、デートクラブや愛人クラブなどに女性を紹介した場合、10万円以上のキックバックが入ってくると言うので驚いてしまった。だから、彼女がしつこく勧めて来た理由がよくわかる。

 

 

父と母は、絶対に行ってはいけないと私に言って来た。当然、私も気持ちの悪い!知らない男性とデートするなんて嫌に決まっている。

私だって、そんなデートクラブになんか入りたくない!

そして、しつこく勧誘して来る彼女にはっきりと断った。

 

 

父は彼女が伝えて来たデートクラブの電話番号に素知らぬふりで電話をしてみることにした。東京の青山辺りに事務所があるらしい。

 

昼間は英会話教材を売る会社だという。

電話が繋がると、父は「そちらの知り合いの会員に聴いてのですが、お宅で女の子を紹介してくれると聴いたので電話したのですが」と言うと、家は英会話教材を売る会社ですが、その話は誰に聴いたのですか!」と警戒しているようだった。

 

 

そして父はすぐに「そちらの会員で、私の知り合いから聴いたんですよ」と言うと相手は「ご紹介はできますが、お宅も会員になる必要があります」と言って来たのである。相手側は「会員のどなたに聴いたのですか?」としつこく聴いて来るので、父は「それじゃ、わかりました」と言って、電話を切ってしまったのである。

 

父は電話を切ったあとに今の会社はやっぱり怪しい所だなとひと言言った。やはり、デートクラブを営業している会社に間違いない。昼間は、隠れ蓑として英会話の教材を売る会社にしているわけだ。

 

 

真実がわかったことで、私は物凄く悲しくなってしまった。私は異母兄妹だとしても、兄を本当の兄妹と思っていたので、兄の子供が産まれたときに父から私は叔母さんになるんだと、とても感慨深かったことが想い出されるのだ。その兄夫婦に私はデートクラブに売られそうになってしまったのである。こんな悲しいことって、ない!

 

 

これも、父が蒔いた種である。父に「兄さんは、パパのことを相当に恨んでいるんだね!私まで、酷い目に合うところだったよ」と言うと父は「あいつは、パパを恨んではいないんだよ」とのたまうのだ。

私は早急に「じゃ!誰を恨んでいるの?」と父に言う。

 

 

父は取り澄ましたような表情で「お前を恨んでいるんだよ!」と信じられないことを言って来た。私は腹が立って、「パパが蒔いた種でしょ!それなのに何で私を恨んでいるわけなの?」

父の返して来た言葉は、私の今まで生きて来た人生にも関係する恐ろしい言葉だった。父は「お前が生まれたからだよ!」と・・・・・。

 

 

私が生まれたことで、私は自分の親や兄夫婦たちに迷惑をかけていたなんて・・・・。つまり、存在していなかったことが、皆のためには良かったのか!

 

ショックで、私はその場にはいられなくなり、自室に籠って自分という存在を憎んでいた・・・・・。