稽古が本格的に始まると、私にとっては非常に不利なことがあったのである。
15歳時代にヤクザたちと知り合って、組長が刺青を入れ始めていたのを知って、自分も刺青を掘ってほしいと懇願したが、知り合いのヤクザたちは、皆揃って「チビが将来、どんな道を歩むかわからない!一生、極道の世界にいるとは限らない。将来、後悔しないためにも、墨は入れてはならない!」と異口同音に言っていたのである。だから、刺青を入れることは止めてしまったわけだ。
ところが、翔と付き合ってから翔の知り合いに私は 左腕に刺青を入れてもらったのである。これは失態であった!
芝居の稽古に入れば、必ず衣装を着なければならない時が来る。今、左腕にはサポーターをつけている。劇団に来るときは、いつもサポーターをつけなければならなかった。
こうなったら、早急に刺青を病院で消してもらわなければならない。
急がなくてはならなかった!1