幻想雪恋歌 | The Lilies And Roses

The Lilies And Roses

当ブログはスキップビートの二次小説ブログです。
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また文章の無断転載等はご遠慮下さい。

自由にのんびりと書きたいお話を載せていきたいと思います。
Laylaの完全自己満足&文章力UPの為の修行場です(´∀`)


のこ様リクエストでカイセツ映画化のお話です(*´ω`*)
・2人のあま~~いお話でカイセツ。
・エロカワなキョーコちゃんが主役の映画やCM
・やっきもっき暴走する蓮様
・人に甘える、甘える事が出来るキョーコちゃん

今回は映画の役でカインとセツカを演じ、休憩中や外では蓮キョになります。







* * * * * *





「………………セツ…」

カインは愛おしくて堪らない熱い眼差しでそう言うと…彼女の顎に手を置き、唇のピアスをそっと外した。

…そして…カインは暫くそのまま雪花の唇を切ない瞳で見つめた後…自分の唇をそっと彼女に重ね合わせた――…。

「…この先…何があったとしても…俺は永遠にお前のモノだ――…。」

「…何処にも置いていかない…もう絶対に…お前を手放さない――…。」

カインは切ない表情でそう言うと、強く…強く…包み込むように雪花を抱き締めながら瞳を閉じた。

「……………っ……本当に……?」

「…あぁ……今ここで…お前に誓う――…。」

彼女の瞳からは感激の涙が溢れ…伏せた長い睫毛を濡.らしたそれは静かにカインの胸へと零れ落ちていく――…。

「………………っ」

「……嬉しい兄さん…。アタシ…ずっと…すっと…その言葉……欲しかった………。」

カインは優しく雪花に微笑み…涙をそっと拭った後、情熱的で濃.厚なキスをし始めた――…。

お互いの舌が熱く絡.み合い…雪花は慣れない激しいキスにたどたどしくなりながらも、カインの首に腕を回し…必死に彼の舌を受け入れる。

「………………………。セツ……お前の全てが欲しい――…。」

「……代わりに…俺の全てをお前にやる――…。」

そう言ったと同時にカインは雪花の服を脱がせながら…彼女の滑.らかな白い肌の感触を確かめていくと…

甘く…色気混じりのセツカの吐.息が漏.れ、カインはどんどんと煽.られていった――…。

「…セツ…雪花……愛してる――…。」

「…アタシも…愛してるわ……カイン――…。」

その晩…カインと雪花は情熱的な愛で漸くひとつに結ばれ…2人は明け方まで深く愛し合った――…。


* * *


…カインと雪花が…初めて結ばれるシーンの撮影をした時――…。

私の…私の心は…“雪花”ではいられなかった――…。


カイン兄さんを演じている敦賀さんの…セツを見つめる 愛しい熱い眼差し――…。

大きくて骨ばった…男らしくて温かい…敦賀さんの手…。

鍛えられた逞しい敦賀さんの身体に男性の色気を感じて……。

そして…クラクラと眩暈がするような…情熱的で濃.厚なキス――…。

まるで敦賀さんが…セツではなく…私自身に“永遠の愛”を誓っているような…そんな錯覚に陥った――…。

分かっているわ…これは演技なの…。勘違いをしてはダメ――…。


だけど…!

あの瞬間だけは…

貴方は “私のモノ” であり

私は確かに “貴方のモノ” で――…。

これ以上に幸せを感じる瞬間はないと思った――…。


敦賀さん……。

私は…どうしようもないくらいに…貴方を愛しています――…。

けれど…それ以上に…私は怖いんです――…。

…心の奥深くに閉じ込めている…自分自身の…心の闇が――…。




幻想雪恋歌 ~TRAGIC LOVE ~

「トラジックマーカー」の公開から約三ヶ月後、BJの正体が明らかになると…“カイン・ヒール”こと敦賀さんの演技は業界内で大きな話題となった。

映画は大ヒットをし、近衛監督も大満足で…“また一緒に仕事をしたい”と声を掛けられたと敦賀さんは感謝しながら私に伝えてくれた。

そして約一年後…。今度は“カインと雪花で映画を撮りたい…”と近衛監督から新たなオファーが届き、社長の一存で既に私達の出演は決定していた――…。



* * *



「あ……!敦賀さんの新しいアルマンディーのポスター……!!」

カインと雪花の映画「Labyrinth(ラビリンス)~雪の華~」への出演を知らされた翌日、原宿で仕事を終えた私は溢れた人混みの中を歩いて駅へと向かっていた。

敦賀さんのポスターが目に入っただけでも私の心臓の鼓動は高鳴っていく――…。

最近は仕事ですれ違いが多く、あまり会えない日々が続いていたけれど…私にとってそれは少しだけ都合が良かった。



…敦賀さんに告白された…あの日から…もう少しで一ヶ月になるのね――…。

敦賀さんのポスターの前で立ち止まり、愛おしい貴方の姿をゆっくりと切ない表情で見上げてしまった。



「………………………………………。」

…最初は…ありえない…と。一体何の冗談なの…と思って敦賀さんの告白を聞いていたけれど……。

とても真剣で…熱い眼差しと…僅かに震える貴方の声――…。

敦賀さんが自分の中に秘めていた…私への情熱的な想いを…語れば語っていく程に…

あの人は “本気” なのだという事に気付かされてしまった――…。

そして…それが分かった瞬間、こんな私なんかを“好き”と言ってもらえた事への喜びを感じたと同時に…



堪らなく暗い…暗い絶望感に襲.われて

私の世界は冷たく一気に凍りついていった――…。



ねぇ…敦賀さん――…。

貴方が前に言っていた…好きな女性への気持ちは一体何処へ消えてしまったのですか……?

「トラジックマーカー」の撮影が終わった頃…坊で出会った時に貴方は……


“彼女へ対しての想いはどうしようもない程に育ってしまった”

“俺にとってたった一人だけの最初で最後の運命の相手”


…そう…私の心が切なくて…苦しくて…おかしくなってしまいそうな程に熱く語っていたのに――…。



「………………………。」

「…どうして…あれから…たった一年で…その情熱的な想いは変わってしまったのですか……?」

「……幼い頃に…出会って…大人になってからも再会出来た…“運命の女性(ヒト)”なんじゃ…なかったのですか――…?」

秋口の風が勢いよく吹き…肩の下まで伸びた自分の髪の毛がふわっ…と揺れていく――…。

「…月日が流れれば…それだけの想いでも…消えて無くなってしまうものなの……?」



そんなの嫌……!!

それだったら…最初から何も無かった方が幸せじゃない……!!



立ち止まっていた足を動かし、私は考え込みながら駅への近道である公園に入って行った。

夕暮れ時のその場所は、お洒落な服装に身を包んだ若いカップルで溢れている。

私は歩きながら彼らの様子をさりげなく…見つめてみた。

幸せそうに…いちゃつく カップルが殆んどだったけれど、中には喧嘩で別れ話をしているような雰囲気のカップルもいた。

「………………………。」

再び秋風が吹く。公園内の木々がさらさら…と風になびいていく――…。






“これから…俺との未来を考えてみてくれる……?”

“ずっと…ずっと いつまでも待ち続けるから――…。”

“君の気持ちが…俺の方に向いてくれる…その日まで――…。”




告白されて…何て返事をしたらいいのか分からなくて…頭が真っ白になって黙り込んでしまった私に貴方はそう言うと…

優しい笑顔でそっと…そっと私の頭を撫でてくれた……。

それから…あの告白は曖昧にそのままにして…今まで通りに先輩と後輩の関係を続けている……。

狡いとは思うけれど…いつか私への想いが消えてなくなる日が訪れたとしても…今のままなら…ずっと変わらずに貴方の傍にいられるから――…。



だって…もし…貴方にまで捨てられたら

もう…私の心は完全に壊れてしまうから――…。




怖い…怖い……。

その瞬間を考えるだけで全身が震えて来る――…!!




今のままで十分なの

ただ貴方の傍にずっといさせて欲しいだけなの

それ以上は何も望まないの――…!!




だけど…私の中の敦賀さんに対するこの想いがバレてしまったら…今のベストな関係は崩れ去ってしまうから…卑怯だけど必死で恋心を隠し続けてる。

「そんな状態で…カインとセツカを演じて…想いをずっと隠し通せるの……? 私……?」

それでも…またセツカを演じられるのはとても嬉しくもある――…。



逞しくて…温かい敦賀さんの胸の中

優しくて…どこか落ち着く敦賀さんの香り――…。

セツカなら…演技として堂々とそれを味わう事が出来るから――…。



自分の頬が薄らと紅く染まったのに気付き、私は照れを隠すように夕暮れ時の空を見上げた。

「…よし…頑張るのよ…キョーコ……!! あの人と…共演出来るんだから…///」

そう呟いた後、駅に着いた私は自分の鞄を少し開いて中を覗き「Labyrinth(ラビリンス)~雪の華~」の台本の存在を確認した。

同時にアナウンスが流れ駅のホームに電車がゆっくりと到着し、それに乗り込んでいく――…。





…敦賀さん……。

私は…貴方への恋心を絶対に隠し通したまま

貴方との共演で心に残る最高の思い出が作りたいんです――…。

それが今の私にとって…“幸せの形”なの――…。




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