【裏口から侵入】





ボクみたいなモンを雇ってくれている居酒屋での話。



営業が終了し閉店した店内を清掃していた“タートルヘッド佐藤師匠”が非常口付近のテーブル席で眠る“不審者”を発見した。その“不審者”は裏口を利用して不法侵入してきたことは明確だった。なぜなら、その“不審者”が裏口を出てすぐの階段踊り場で眠っていたのを数人の従業員が目撃していたからだ。外はあまりに寒かったのだろう。でも不法侵入は立派な犯罪だ。不法侵入先で寝息をたてる“不審者”を“そっとしてあげる”ほど“にっぽん国”は平和ではない。心地好く眠る“不審者”へ警告する為に“さらっさらヘアーの店長”は仕方なく動いた。“さらっさらヘアーの店長”は不審者へ極上に丁寧な口調で話し掛けた。



眠れる獅子。



暖かい寝床での睡眠を妨げられた“不審者”は“さらっさらヘアーの店長”に逆ギレ。不法侵入した挙げ句に逆ギレである。しかも“不審者”は“わけのわからんこと”を大声で怒鳴り散らした。



『おまえ!歳いくつじゃ!』



そんな“キレ技”は卑怯である。ギャラリーは大盛況。逆ギレの漆塗りで勢いを増す“不審者”への対応は“ポリスへ通報”しかなかった。“タートルヘッド佐藤師匠”は“ポリスへ通報済み”ということを“さらっさらヘアーの店長”に報告した。もちろん不審者の耳にも“ポリスへ通報済み”という情報がもれた。



豹変。



“不審者”は豹変した。“ポリスへ通報済み”の情報をキャッチしてから確実に態度が豹変した。“寝惚けていた”という設定でコンタクトをとってきた。ヘタな演技だがウマイ話である。



しらばっくれる。



さっきまで大声で散々と怒鳴り散らしていた“不審者”はポリスが到着する前に態度を豹変させ“子犬のような表情”を浮かべて裏口から退店された。謝罪もないままに…。



仕事を終えたボクは始発電車で地元へと到着した。そして人気のない道をトボトボと歩いていると路上に使用済み感溢れる浣腸が落ちていた。



浣腸といえば!



その昔、“タートルヘッド佐藤師匠”は“肛門”にデカビタCの先端を挿入されたことがあるそうだ。



伝えたかったコト。



ボクが伝えたかったコトは『大人は“裏口”が大好きだ。』という“恐ろしい真実”だ。



恐ろしや、恐ろしや。