【噂】





理由。



“Kiroroはよい歌を歌う”という冒頭から始まる知人の日記を読んでボクは“極小路秀麻呂”の気持ちで“男塾名物”を遂行したいと思った。理由は“男前な心意気”に感動したからだ。人間が織り成す“恋愛”という物語には『惚れたもん勝ちや!』とか『惚れたもん負けや!』という言葉を掛ける役割を担う登場人物がいます。この役割を担う登場人物は大抵が“器用”です。そこそこの経験があり“酸い”も“甘い”も知っています。“悪魔”のような顔で“天使”の囁きができたり、“天使”のような笑顔で“悪魔”が土下座するような事をしたりもできます。8割が包茎のはずです。この際、そんな重大な事は放置プレイを施しておいて、とにかくこの知人には“遠距離”に負けてほしくない。是非とも“祝言”を挙げてほしいと思う。そして人生のパートナーに“矢沢”の“アイ・ラブ・ユー、OK”を歌ってほしい。ボクはKiroroがどんな歌を歌っていたか記憶が曖昧なので何とも言えないが、“大槻ケンヂ”の“オンリー・ユー”は名作だ。



宴会。



2年半続けてきた深夜バイトを辞めた。今日から働く職場での給料は今までの半分ぐらいになるが“お月様に顔向けできる立派な変態”になる為にがんばろうと思う。新しい仕事が始まる前にどうしてもバイトの同僚達と呑みたかったのでビアガーデンへ行った。とても楽しかった。ボクの中で“ひとつの区切り”がついた様な気がする。ビアガーデンでの宴会の中にはボクの所属するバンドのリーダーや、昔のバイトの同僚のタワシ君とムッシュ・ムラムラもいた。以前から“童貞疑惑”が濃厚だったムッシュ・ムラムラが噂の真相を明かしてくれた。

 【2008年7月時点】
  ムッシュ・ムラムラ29歳 童貞
  プロとの経験も無し
  学生の頃に酔っ払ってキスの経験有り
  恋人は面倒臭いから必要ないと豪語
  恋人いない歴は無事に29年目を迎えた
  30歳でも“童貞”だと思うと自ら予想
  宴会の後半に“童貞”を守ると宣言

ムッシュ・ムラムラの発言の矛盾点には“イキってる”という心模様が見事に表れているので“気色悪っ”と思い、感心してしまう。それに加え根っからのオチョボグチ、清潔感が皆無に等しいビィジュアル、後ろ向きな考え方、まったくもって面白くない話、“冴えなさ”の冴える話術、これらの要素が“気色悪さ”を増長させてしまっている。もうムッシュ・ムラムラは手遅れかもしれない。ムッシュ・ムラムラは“気色悪い”が“悪いやつ”ではないので、素敵な恋愛にめぐり逢ってほしいと思う。そして“新婚初夜”まで“童貞”を守り続けてほしい。もうひとり“素敵な恋愛”にめぐり逢ってほしい男がいる。俗称“ブラックシャーク”と呼ばれる“ポコチン”を所持する男だ。その男はボクの所属するバンドで“リーダー”という肩書きの変質者をしている。リーダーは礼節を重んじるあまりに人見知りをしてしまう男だが、アルコールが入ると野良犬のプライドが目覚め、変質者としての本領を発揮してしまう。リーダーは“ええ年こいてる頃”にバンド活動以外で“公然猥褻”という分野の履歴がある。そんなリーダーは2次会の居酒屋でアルコール濃度の高くなった
口臭を武器に浪速節を“耳の裏”が“すっぱくなる”程度に披露していた。楽しい時間が過ぎ行くのは早い。2次会も終わりを迎える頃に居酒屋の個室を仕切る格子戸の網目に“ブラックシャーク”を格納したリーダーは“そのドス黒い先端”で我々を睨みつけた。流石は変質者だ。リーダーは懐の深い不愉快な男だとボクは再認識した。



 あの娘のことが好きなのは
 赤いタンバリンを上手に打つから
 流れ星一個盗んで
 目の前に差し出した時の顔が見たい

 人は愛し合う為に生きてるっていう噂
 本当かもしれないぜ



2人には素晴らしい恋愛にめぐり逢ってほしい。



でもそれは容易くない。



めでたし、めでたし。



※BLANKEY JET CITY“赤いタンバリン”から一部引用。