【勝敗の行方】





\3000。



“トップレス・バー”を発見した。これはこれは潜入捜査しなければならない。別にトップがレスしてしまっているガールを見たいがために潜入捜査するわけではない。ボクは真面目だ。年間の8割はポコチンが充血してしまうほど真面目だ。そんなこんなで、元“風紀委員”としての血がトップレス・バーへの潜入捜査を駆り立てるし、カリ起てるのだ。世に蔓延る生真面目な青年たちの為にも\3000を握り締め、仕方なく潜入捜査へと踏み切らなければならない。辛い。実に辛い。辛すぎて辛すぎて微笑みがもれてしまう。大人は大変だ。



コッサン。



朝の通勤で乗換える駅でのこと。いつものように電車を待っていると、胸の1/3は露出してあると思われるTシャツを体にピタリとフィットさせ、極悪に短すぎるミニスカートに峰不二子を彷彿させるような太腿までの網タイツを合わせ味噌するプレステージのAVに出てきそうな女優さんの雰囲気を潮噴きしている女性がいた。オッサンなら迷うことなくその女性の真横を陣取り、『ネーチャン、ハメハメしたくなるぐらい迫力のあるバディしとるなぁ。いったい今までに何本の陰茎を食うてきたんやぁ?もちろん乳輪は浪速節でおまんねやろなぁ?』と心の中で紳士な事を囁きながら、ガールの肉体を至近距離で視姦するだろう。そのガールの陰毛でも拾うようなことがあれば“視姦”しながら“陰毛”を“歯間ブラシ”にするだろう。残酷なことにボクはコッサンだ。オッサンほどの度胸もなければ勇気も迫力も知識も想像力も創造力も年輪も所持していない。むしろ“潮噴きガール”を見た衝撃でインポになってしまいそうだった。自分を不甲斐無く思った。



青年。



度胸ある青年がいた。その青年はAVみたいなガールの頭から膝ぐらいまでを眼球に映せる殺陣の間合いをとり、ガールの斜め前に立っていた。正確には“起って”いた。青年は“恥じらい”や“世間体”や“両親の愛情”や“先祖”を放棄し、勇ましく起っていた。そして“ポケットの中で戦争”をしてけつかんでいた。いわゆる“ポナニー”というやつだ。隙ひとつない見事な構えだ。青年のズボンの股間部分は風ひとつ吹いていないのに激しくなびいていた。いかつい。いかつ過ぎる。“武士に情けは必要ない”と言わんばかりに激しくなびいていた。“武士の構え”に気付いたガールが青年を睨みつけた。逆効果だ。青年は更に激しくズボンの股間部分をなびかせた。更に睨みを効かせるガール。逆効果の漆塗りだ。青年はガールに向けて腰を突き出した。いよいよ“アムロ!いきまーす!”かと思われた時、そこへ電車がやってきた…。“捨てるモノがない”より“捨てるコトに躊躇がない”の方が勇ましい。



めでたし、めでたし。