【歌謡日“弍”】





リーゼント。



宇宙戦艦ヤマトみたいな頭髪をしたメンズやカタカナが書けないメンズが同級生だった高校を卒業したボクは“ミュージシャン”という肩書きに憧れる想いを内に秘めながらバイト先の某百貨店でハム類の管理担当へと出世した。小学校から高校までずっと同じだったナカムラ君も同じ某百貨店の青果コーナーで働いていた。高校入学と同時期にボクとナカムラ君は一緒に某百貨店の面接を受けた。合同面接だった。その時ナカムラ君が差し出した履歴書の写真は逆さまに貼られていた。それを見たボクは“ナカムラ君は忍者やったんや”と気付いたが、面接官の綺麗なお姉さんは吹き出して笑いそうになるのを抑えて腹筋を破壊しながら我慢されていた。美人は偉いし、エロい。当の本人であるナカムラ君はこちらを向いている自分の写真と対面したのが恥ずかしかったようで赤面していた。そんな珍事がよかったのかボクらは採用され、バイト先に“友達”と呼べる“先輩”もでき、毎日を楽しく過ごしていた。ただ、“ミュージシャン”という肩書きへの憧れは日々増すばかりだった…。



つづく。