【歌謡日“参”】





再会。



高校2年で同じクラスメイトだったオオクマ君は阪神大震災の頃、銭湯通いの末に自分のチンチンが法外なことに気付いた。そう、マラが巨大だったのだ。女子に解りやすく説明すると、パクッとクチへ含むには躊躇するサイズなのだ。要するにチンチンがでかいということだ。グロテスクでもある。そんなオオクマ君は銭湯荒しを始めた。それはそれは肩まで優越感に浸れる入浴だったそうだ。噂によるとオオクマ君のチンチンは“喋る”らしい。しかも、完璧な勃起をすると『よっしゃぁぁぁ!!』と叫ぶらしい。さらに射精時には精液の代わりに“花火”を発射して『たーまやー』と叫ぶらしい。チンチンのくせに『たーまやー』と叫ぶらしい。うらやましい。オオクマ君のチンチンは法外で非常識なのだ。そんなオオクマ君と高校を卒業してから1年ぶりに再会することとなった。事の発端はナカムラ君だ。ナカムラ君は付き合いたての恋人を連れて地元の小洒落たイタリアンに出向いた。“小洒落たイタリアン”と言っても所詮は田舎にある“小洒落たイタリアン”なので“垢抜けきれてない感”がムンムンと漂っている。きっとナカムラ君は恋人を連れていたのでイキ
りたおした風情で入店したに違いない。料理をオーダーし、店内をぐるりと見回した時、厨房でチンチンがタマキンをふっていた。そんなはずはない。ナカムラ君は冷静になることに努めた。そして、再び厨房を見た。すると巨大なチンチンがフライパンをふっていた。やはり巨大なチンチンがふっていたのは“タマキン”ではなくて“フライパン”だった。ひと安心したナカムラ君は巨大なチンチンに注目した。それは、よく見なくてもオオクマ君だった。恋人を連れていたナカムラ君は調子ぶっこいで仕事中のチンチンに声をかけた。ちょうど昼休憩に入る直前だったチンチンは店長の“嫌がらせ”のような“ご厚意”と“それを断りきれない”ナカムラ君とその恋人と共に自分が働く店のイタリアンを同僚達の前で召し上がることになった。後にチンチンは『あの時はメシの味もわからんぐらい緊張したわ…』と遠い目をしてカウパーをたらしてくれた。



つづく。