【歌謡日“伍”】





ナイスハプニング。



決闘から数日後、ボクはコスプレイヤーをギタリストからドラマーへと進路を変更するように説得した。コスプレイヤーはすんなりと受け入れた。そら、そーである。あれだけの実力差があれば納得であろう。所詮はギターを担いだ“ケンシロウ”の“コスプレイヤー”だ。あの決闘が“ギタープレイ”でなく、“ケンシロウのコスプレ”だったらナカムラ君の圧勝だったが、あとのカーニバルだ。いや、そもそも“ケンシロウのコスプレ”という決闘自体がありえない。とにかくナカムラ君の説得に成功したボクはオオクマ君を巻き込んだ。巻き込まれたオオクマ君も嫌そうではなかった。そして幸運なことにオオクマ君の弟がベースを弾いてくれるというナイスハプニングもあり、ついに、まんまとバンドを結成することに成功した。ボクはボーカリストとしての出発になった。オオクマ君の提案で、まずはコピーから始めることになった。それはまだ、ナカムラ君のアヌスが見世物にされる随分と前の話である。



つづく。