心臓が口から飛び出しそうな私たちに向かって、

彼はこう言ったのです。

「僕、誰かに似てるでしょう?わかる?」


そんなん、聞かれるまでもなく思ったわ!

勝新っ


「勝新太郎です」

彼は、自分で種明かしをしちゃいました。

答える気満々だったのにな。


その、強烈な第一印象と、全く無駄のない思考のプロセス

今までに会ったことがないタイプの人間のものでした。

カリスマってこういう人のことを言うんだなあ。

この人の言う事をきちんとやっていれば結果は必ず表れる、

そういう確信を持たせてくれる人です。


どん底だった事業部をV字回復させた張本人です。

スゴイ人オーラがばんばん出ていて、拝みたくなっちゃうような人です。


私はその後、このオフィスに入り浸るようになりましたが、

忙しい彼とは殆ど会えませんでした。

差し入れのお菓子を掴んで外出しちゃった、なんてこともありました。


この人のもとで仕事が出来るなんて幸せだなあ。

なんて思っていた矢先。

彼が会社を辞めるという知らせがきました。


青天の、霹靂。


チーフになって、これから!

あなたから吸収できると思っていたのに!

涙が出そうになったけれど。

最後の挨拶をしてくださったときの

彼の言葉もまた、胸に突き刺さったのです。


僕は現場に近いところにいたいんです。


事業部長(しかも複数のブランドを兼任)の上、

副社長まで務めていた彼は、

自分がやりたいこととのギャップが許せなかったのでしょうか。


収入は君たちの100倍はありますがね、でも辞めます。


100倍って(爆)

なんだか何もかもが清清しかったな。

次に何を始めるんだろう?ってわくわくしちゃった。


そんな彼と、思わぬ再会を果たしました。