先に、前編をどうぞ。

長くなったので、前中後の三部構成になりました。




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何度くぐっても、天門をくぐる感覚は気持ちのよいものではないと思いながら
ウンスは、天門の外の地に足を踏み込むと
そこにある[もの]に驚き、小さく悲鳴をあげて後ずさる

[それ]が人だと分かり、動かないのを認めると、恐る恐る声を掛ける
「大丈夫ですか?どこか怪我を‥」ウンスがそっと体に触れると、[それ]は冷えて固まっていた
もうこと切れているのは分かっていたが、瞳孔を確認しようと顔を見る

「あなた‥!?」どうして‥と思うより先に、
ウンスは、よろめきながら走り出した


--- ここは、ここは‥もしかして‥!


小石がゴロゴロとした荒れ地に
何度も足を取られながらもウンスは走った

--あれは‥、まさか‥

荒れ地に一振りの剣が突き立てられているのが目に入り、それに近づいていく
その側には人影がある


----あぁ‥やっぱり‥
あなた‥
あなたなのね‥


ウンスは、仰向けに倒れたヨンに触れ
キ・チョルと同じように冷えて固まりつつあるのを感じた

---よかった、まだ息はある!

ウンスは大木の下へ行き、落ちた枝と枯れ葉を集めると、草の生えていない場所へ置き
リュックからライターを取り出し 着火した

ウンスは、意識のないヨンの脇から手を入れ
後ろから上半身だけ起こし、出来るだけ火の近くへと、力を振り絞り大きな体を引き摺った

---お願い、どうか‥

ウンスは、上半身を立てたヨンの後ろへ周り、抱きしめるように、震える手でヨンの体をさすった

---どうか、お願い‥目を覚まして!


「チェ·ヨン‥
あなたに会いたくて‥
何度も天門をくぐったわ‥
そこで考えうることは全てやってみたわ‥

でも、現代へ戻るたび‥
何度もあなたの名前を探して‥

でも‥どこにも見つからなくて‥

また100年前の時間に行っちゃって‥
でもね‥


わたし、諦めたくなかったの‥
二度と会えなくても‥

貴方が、笑顔で生きていることを‥」




---私が、流した涙の一粒一粒が
いつか
巡り巡って
貴方に届くことを‥







「…イ ムジャ‥?」
ヨンは、愛しき女人の花の香りに意識が覚醒し

瞼がゆっくりと上がる

「チェ·ヨン…良かった!
目が覚めたのね!このまま横にするわね」

ウンスはしゃがんだままゆっくりと後ずさり、ヨンの上半身を横たえていく

ヨンの脈を取りながら
「どこか痛むところは?」と顔をあげると


目を見開いたヨンと目が合った



「‥オルシン‥あなたが‥某を救けてくださったのですか?」




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オルシン:
自分の親より年配者への呼びかけの言葉


長くなってしまったので
後編へ続く。
なるはやで〜