先に、前編、中編をどうぞ。

 

長いので、これで終わらなかったぁ〜(*_*;
jさまのマネっこで、後編1/2です。(^^;ゞ
 
 
 
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「オルシン‥あなたは某の名を?
ウンス‥医員の女人は‥どこに?」
 
赤茶色の髪の、たおやかな美しい女人を知らないかと
目覚めたばかりのチェ·ヨンは、ウンスに矢継ぎ早に疑問をぶつける
 
---ヨン‥私よ!
あなたに会いたくて、会いたくて‥
ここまで来たのに‥
 
ヨンの目は、怪訝な色をたたえている
 
---私が‥
わからないの?!
 
ウンスは、ヨンの脈を取る自分の
皺だらけの手を見つめた
 
--そうだ‥
私はもう、、ヨンの記憶にある姿から
すっかり歳老いてしまったんだ
 
 
すぐに天門が開くわけではなかった
ウンスは、天門の開く日付を何度も計算して、
 
また一度過去へ行くには現代に一度帰るという法則があると仮定を立て
現代に帰ったら、歴史を調べて、役立ちそうなものを見繕っては旅立った
 
そんなことを何度も繰り返し
 
そうして、ウンスがここへたどり着く前
ソウルで見た鏡には
『オルシン』と呼ばれて然るべき姿のウンスが映っていた
 
 
「…あなたがいう医員の女人は‥」
 
---私は、『あなたのウンス』じゃない‥
---ここに私が居たら『あなたのウンス』が帰って来れない
 
「間もなく、帰ってくるわ‥必ず」
 
「オルシン‥?」
 
「すぐに帰ってこなくとも‥必ず帰って来るから、
信じてほしいの‥」
 
−−−あなたたちは、私の願いを叶えてほしい 
 
「オルシン‥あなたは」
 
---ヨン‥あなたの目は、まだ絶望していない。
『あなたのウンス』 が帰ってくるまでは、希望を持って生きてほしい‥
 
 
「必ず、それまで、生きて待っていて‥」
 
ウンスは、ヨンの脈にしっかりとした拍動を感じると
手を離した
 
すると遠くから馬の蹄の音が段々と近づいてくる
 
--よかった、テマンとウダルチが来てくれた‥
 
遠くからでもわかる髪型を確認したウンスはヨンに
「では‥これで」というと、立ち上がった
 
ヨンが体を起こし
「救けて頂いた恩は必ずやお返しします。某はチェ·ヨン‥」
ウンスは、そっとヨンの唇に指を当て言葉を遮ると
ふるふると頭を振った
 
「その約束はしないで。
ただその女人を‥待っていてほしい。それだけが‥」
 
---私の願いなの
 
 
ウンスがヨンに背中を向け、天門へと歩を進めると
 
テジャン、ご無事で!
 
幾人かが歓喜を上げ近づいてくる
ヨンがひとりで居るのを確認すると、辺りを見渡し
‥医仙さまは‥?どちらへ?と恐る恐る訊ねる
 
 
「あの方は‥すぐ帰ってくる‥
だから‥
俺は、ここで待つ」
 
 
ヨンは、老女の進む先を静かに見つめた
 
 
 
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奉恩寺の天門にたどり着くと、
ウンスは手を合わせ弥勒菩薩を見上げた
 
--もう大丈夫…
あの人はきっと「あの人の私」と生きていける
 
 
音もなく、ひとりの僧がウンスに近づきそっと聡した
 
「あなたの積み重ねた行いは、
きっと弥勒菩薩に届いたことでしょう。
水滴が岩を穿つように‥」
 
 
「あなたは‥」
ウンスが振り向くと、その後ろで弥勒菩薩が一瞬煌めき
辺りは光に包まれた
 
 
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次こそ終わりです!