前編、中編、後編1/2を先にどうぞ。 

これで本当に終わりです!



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 「‥っ‥⁉」
ウンスは気がつくと、寝台の中に居た
 
「ここ、どこ‥?ソウルではないし、高麗‥にしては綺麗な寝具ね、物がいいわ」
-- 宮殿で使ってたお布団よりは、劣るけどね 

 --あぁ、体が重い‥布団から起き上がるのがこんなに大変だなんて。
年は取りたくないけど‥

 でも、私は出来る限りの事をしたわ、
時間を費やしたのが無駄だなんて思ってない 

 --それにしても、ここは一体どこかしら?

 見覚えのあるようなないような部屋を見渡していると
扉がトントンと叩かれた

‥はい?と訝しげに返事を返すと
入ってきたのはヨンだった
「イムジャ、‥体は休まったか?」

 --チェ•ヨン…?! 
さきほど助けて別れたヨンより、無精髭のせいか幾分年嵩に見えた 

 「なにをそんなに驚いてる?」
くすり、と笑った顔は、ウンスが
今までに見たことのないほどの笑顔

その笑顔に、ウンスは胸が跳ねて鼓動が早まる

--どうして?

「まだ寝惚けておるのか?」
あぁ、髪がぐちゃぐちゃではないか、と
ウンスの後頭部を優しく撫でる

鏡台へとヨンに促され、ウンスが鏡に向き直ると
そこには目の前のチェ•ヨンと同じ年頃のウンスが居た

「どうして…?これは、、夢?」
ウンスは咄嗟に自分の手を見た、
多少かさついてはいるが皺はなく、張りのある手だった

「夢ではない…
先ほどイムジャは俺の元へ帰ってきたんだ」
ヨンが後ろからウンスをそっと抱きよせる

ウンスは、鏡の中の自分を覗き込むように
鏡に手をつき、鏡の向こう側と手を合わせた


---この感じ‥何処かで‥


---そう‥…!
あのとき‥
弥勒菩薩の光に包まれた中で


---もう一人の‥若いウンスに会った

『ありがとう‥
貴女が諦めなかったから、
私に繋がったの

何度も何度も‥
あの人を諦めずにいてくれて
ありがとう‥
ありがとう‥』


若いウンスと老いたウンスが鏡合わせのように手を合わせると、鏡の中へ入るかのように、二人のウンスは一つになった
 

---そして、私は、あの大樹の下で
チェ·ヨンと再会した‥

はらはらと音もなく涙が溢れるウンスに
「イムジャ‥泣かないで‥」
ヨンはウンスを自分の正面に向き直させると
そっと涙をぬぐう

「‥帰ってきたのね‥貴方のそばに‥
私、ここに居ていいのね‥」

「無論。ずっと‥俺のそばに‥」
ヨンはウンスを腕の中へ閉じ込めるように
一生離さない、というように抱き締めた










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後書きというか、解説。
これはカテゴリ『考察』でして。
昨年やるやるサギしてましたタイムスリップについて、マジメに取り組んでみました。

なぜ最初は、これが一話で終わると思っていたんだろう‥(ーー;)

以前どなたかが、ウンスがタイムスリップしたのは、最初に夢に見た倒れてるヨンを助けに行ったのがまず一回、という意見を聞いて、
確かに、亡霊ウンスの一回ではダメなのかも?と考えるようになりました。

そこで、まず亡霊ウンス(←言い方)の動機を考えました。彼女は、前編にも書いたとおり、王妃を救えば、それがひいてはヨンを救けることになると。

二回目の出奔で王宮を出た時点では
ウンス「私が帰ったら全て忘れて」です。
ウンスは現代へ帰るつもりでした、高麗に残る覚悟はなく、ヨンのそばに残ることは出来なかった。

なので現代に戻り、もう一度タイムスリップして、時間を少しでも戻したいと、医療用具は攫われた王妃のために持っていった(王妃の死因はウンスは知らなかった。そうじゃないと、辻褄が合わん)

100年前で、未来のウンスへの手紙を送った(置いた)ウンスはその後どうしただろう?
自分はヨンの元へ帰れるとはあまり思っていないように感じました。
しかし、偶然にも現代に戻って、自分のしたことの結果を知ってしまえば、、やはり知らぬふりが出来るわけがなくて。
ウンスが何度もタイムスリップを繰り返し、老けてしまうことについては、現在視聴中のドラマ[まぶしくて]からネタを頂いてます。


本来タイムスリップによって、平行世界が幾つも生まれて‥ということを考えだすと、本当は何人ものウンスが時間旅行をしてることになるのですが‥

それを考えだすと
収集がつかなくなるので、この一人のウンスに全て背負ってもらいました。
そして(弥勒菩薩の)力技で、ウンスを融合させてしまった‥(記憶も融合)


最初の考えでは、
年老いたウンスを、自分のウンスを亡くした後の晩年のヨンの前にタイムスリップさせて締めようと思ってましたが、老けたヨンでは会ってもわからないかもだし、どっちにしても、自分のヨンじゃないし、、

好きな人に、おばあちゃんに見られちゃう亡霊ウンスが可哀想で(;_;)

かと言って、無気力になった釣り人ヨンに巡り合うのもなんか違うしな〜と、、

で、ここではヨンも融合してる、ってことに‥

結果的に、タイムスリップの考察というより、亡霊ウンスの救済となりました^_^;


あ、ちなみにこの最終話の最初に出てくる部屋は、最終回に二人が泊まった宿屋です。亡霊ウンスは当然知りませんが、ドラマウンスは知ってますね。
大樹の下での再会後、ウンスが酷く疲れていると感じたヨンに、ここにしばらく寝かされてました。事後ではありません(笑)

解説長い。

しかしスマホで長文‥
フリック入力の鍛錬にはなるけど、疲れましたわ‥(*_*)