こんばんは。
久しぶりにSSです。

先日、久しぶりにあった友人と話していて思い付いたお話です。




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昔から動物には好かれる方だった。 

もちろん俺も動物は大好きだし、子供のころから犬をはじめ沢山の動物とも触れ合ってきた。 

撮影で動物と共演することだって何度もあったけど、大きなトラブルもなくいつも上手くコミュニケーションをとれていた。

 

それがなんで、よりによって今日は…。

 

 

「う~ん…ちょぉ~っと休憩入れようか…」

 

ガシガシと頭を掻きながら監督が休憩を告げる。  

その合図に方々に散らばるスタッフたち。

俺も社さんが待つ休憩所に向かう。

 

「お疲れ様です。敦賀さん」

 

「最上さん。ごめんね」

 

最上さんは今回のCM撮影の唯一人間の共演者。

 

「いえ私は大丈夫ですよ。この子も良い子ですし」

 

「……」

 

そう言って最上さんは自分の腕の中に抱きかかえている子犬を愛おしそうに撫でる。 

最上さんの腕の中で、ソイツは気持ちよさそうに目を閉じている。

 

「やっぱり敦賀さんでも、動物相手だと苦戦するんですね」

 

今日の撮影はこの最上さんの腕の中にいる子犬と共演。

 

新しい発見をしたかのように目を輝かせて頷く最上さんと並んで歩く。 

内容は不本意であれ、そんな表情の彼女も可愛い。などと改めて共演を喜ぶ俺は相当の末期だと思う。

 

「う~ん。あんまり動物に嫌わることってないんだけどね…」

 

「この子、どうして敦賀さんが近づくとあんなに吠えるのかしら?」

 

今はこんなにいい子にしてるのにねぇ~と子犬に語りかけると、子犬も最上さんの言葉を理解しているかのようにキュンキュンと甘えた声で鳴く。

その子犬を見つめる最上さんのその表情が可愛すぎて、。子犬に語り掛けるふりでわざと身を屈め、彼女の耳元で囁いた。

 

「俺はこんなに大好きなのに…さみしいな」

 

「なっ…!!?」

 

最上さんが耳まで真っ赤になって慌てる。 

動揺のあまり大きく揺れた腕の中で、子犬が驚いて暴れ出す。

 

「あ、きゃあっ…」

 

「おっと…」

 

慌てて子犬を抱きなおす最上さん。

安定位置に再び収まった子犬は、俺に向かってまたキャンキャン吠えた。

 

「もぉ~なんでこんなに敦賀さんにだけ吠えるのかしら?」

 

困ったようにつぶやく最上さん、

でも俺はわかってしまった。 

 

 

この子が俺にだけ吠える理由…。

 

 

気を取り直して休憩所に向かおうとすると、後ろからメイク担当の女性スタッフが最上さんに声を掛けた。 

 

「行っておいで。この子は俺が見てるから」

 

腕の中の子犬を気にして戸惑う最上さんを安心させるように優しい声で言う。

 

「でも…」

 

「大丈夫。リードもついてるし、社さんもいてくれる」

 

俺の背後で社さんも頷いている。 

ではちょっと失礼します。と申し訳なさそうにメイクさんの元に走っていく最上さんを見送り、足元の子犬を見下ろす。

大好きな最上さんから離れて不満そうに俺を睨み、キャンキャンと吠え続ける。

 

ーー彼女の腕の中で甘えられるのは、仕事の間だけだぞ。

 

大好きな最上さんから離れて不満そうに俺を睨む子犬に、顔面に張り付けた笑顔の下、視線だけで伝える。

 

さすがCMにひっぱりだこと言われるだけあって、頭のいい子犬。

俺の視線の意味を正確に感じ取り、自ら仰向けに寝てお腹を見せてきた。

俺が視線を外さないようにのぞき込むと、次第にしっぽをお腹に中に入れて服従のサインを出した。

 

「ごめんね。たとえ子犬にだって最上さんをとられるわけにはいかないんだ」

 

優しく撫でてながら呟いたら、後ろから社さんの深いため息が聞こえた。 

 





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最近転職したばかりの友人は、毎日社長の奥様が連れている子犬に吠えられているそうです。
(;´Д`)ノ

…てことで、『犬に吠えられる蓮さん』をテーマに書いてみました。
ちなみに私は犬を飼ったこともなければ、あんまり触れ合ったこともないので、おかしな点は目を瞑ってお許しくださいヽ(*・ω・)人(・ω・*)ノ