こんばんは!
お久しぶりでっすヽ(゚◇゚ )ノ
特に忙しかった訳でもないのに、なんだか時間が経つのは早いモノですね。
週末、実家に帰って花火大会に行きました。
そんな訳で花火大会のお話です。
んん?
甘くなった…??
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「尚、次は雑誌の撮影よ。急いで移動しましょう」
「あぁ」
カッカッ…とハイヒールの踵を響かせながら祥子さんが歩く。
その後をのそのそとついて歩きながら、ふと目を走らせた先の壁に貼られたポスターに足を止めた。
❛○○花火大会 生中継!!❜
花火大会…
☆☆
『ねぇ、ショーちゃん…今夜の花火大会…女将さんがショーちゃんと一緒に行って来たらって…』
『はぁ?お前と?……パス』
『えぇ!?』
『俺、ダチと行くから』
あの頃のキョーコは、俺の両親やまわりの大人みんなに気を遣って過ごしていた。
学校の成績は常に上位だし、宿題を忘れるなんてもってのほか。俺が「やっとけ」って一言言えば、それすらも笑って引き受けてた。
俺が友達と遊んでいる時だって、俺の母親について旅館の手伝いばかりしていた。
今思えば、それは母親に距離を置かれ、他人の家に預けられた、アイツなりの自衛の手段だったんだろう。
でも子供の頃の俺は、そんなアイツの態度が気に入らなかった。
他人の顔色をうかがって、言われた事はなんでも熟す。
まるで自分の意思なんて何処にもないかのように、どんな事でも受け入れた。
俺の親がアイツを預かっていたせいで、アイツはいつも俺の後を追いかけてきて、正直鬱陶しくも感じていた。
確かに俺は美少年だったけど、俺の事を「王子さま」とか言うアイツのメルヘン思考もそれに拍車をかけた。
まあ、アイツの好意につけ込んで便利に使っていた俺も、今思えば薄情なヤツだったが。
あの花火大会の日も相変わらず俺の周りをウロウロしながら、嬉し恥ずかしそうに誘ってきたんだ。
そんなキョーコにイラついて、いつも俺とキョーコを一緒に行動させる親にもイラついて、アイツの誘いを邪険に蹴った。
『……ショーちゃん、一緒に行くのって…女の子…?』
『当たり前だろ。誰が男同士で花火大会なんて行くかよ』
その時のアイツの表情が僅かに陰ったのを、俺は見てみないフリをした。
『ショーちゃん、おかえりなさい』
花火大会が終わって自宅に帰ると、いつもと同じ笑顔のキョーコが俺を出迎えて、安堵と同時に少しでも気にしたことが馬鹿らしくなった。
☆☆
「あ……」
ポスターを見ながら昔を思い出していると、横から耳馴染みのある声が聞こえた。
「キョーコ…」
「祥子さん、おはようございます」
「おはよう。キョーコちゃん」
「っ…おいっ!俺にも挨拶しろや!芸能界の先輩だぞ!!」
俺を綺麗に無視して祥子さんと世間話を始めるキョーコに物申すと、ジロリと冷めた視線を向けられる。
(ホント、あの頃のキョーコから絶対有り得ないよな…)
「オハヨウゴザイマスフワセンパイ」
「てめぇ…」
「お忙しいフワセンパイは、お急ぎなんじゃないですか?」
それすらもあっさり無視して祥子さんに問いかける。
「ええ。なのにショーったら、このポスターの前で立ち止まっちゃって…」
困ったように呟く祥子さんとは対照的に、そのポスターをみたキョーコの顔がみるみる険しくなって、最後は悪鬼のような表情になった。
「…ショー?」
そんなキョーコの表情を見た俺が、顔を顰めるどころか僅かに口元を上げてニヤついたのを祥子さんが不思議そうに見上げる。
だって、笑わずにはいられない。
『花火大会』と聞いて、アイツは俺との昔のことを思い出したんだ。
つまりキョーコの中で花火大会の思い出は『俺』との思い出…。
まだ誰にも…敦賀のヤローにも上書きさせてないってこと。
再会したキョーコは、見た目も性格も別人のように変わっていた。
あまりの変貌に、幼馴染の俺でさえ最初は気付かなかった。
でも本来の生真面目さやメルヘン思考なところ、無意識のうちに俺を勇気づける言動。
所々で垣間見せる変わらない姿に、安堵と喜びを感じたのも事実。
それに、自分の夢に向かって突き進むその姿は、イキイキとしていて嫌いじゃない。
「なあ…花火大会、一緒に行ってやってもいいぜ?」
「はあ?寝言は寝ている時に言うものよ」
「なっ…」
「それに花火大会の日はもう…」
少し内股に爪先を合わせて、モジモジするその姿には見覚えがある。
キョーコが嬉し恥ずかしがっている時の癖だ。
「おっっまえ~~!相手は男だな!?誰だ!誰と行く気だ!?はっ……さては、敦賀のヤローかぁ!!?」
「んなっ!?かかかか関係ないでしょ!!…祥子さんっ、失礼しますっ!!」
足早に立ち去るキョーコを追いかけようとする俺に、祥子さんが追いすがる。
「ショー、もう本当に時間がないのよっ!!」
「ちっ!俺は許さねえぞ!!」
長い廊下の先、小さくなるキョーコの背中に向かって叫ぶのが精一杯だった。
☆☆☆
「わあ…キレイ!!」
「よかった、キョーコが喜んでくれて」
高層マンションの最上階から見る花火は本当に手が届きそうなほどで、つい伸ばした手を後ろから私を包んでいた大きな手が握りしめてくれる。
「私、花火大会を見るのは初めてなんです」
「へえ。じゃ、俺はキョーコの『はじめて』をまたひとつ貰ったんだね」
そう言って私を見つめる敦賀さんの真っ黒な瞳の奥に、怪しく光る夜の艶を見つけて頬が熱くなった。
「もう、破廉恥ですよ…」
「ふふっ。そんな想像するキョーコの方が破廉恥かもね」
俯いてそう呟くと、反論された。
「うぅ……イジメッコ…」
恥ずかしさから敦賀さんの広くて大きな背中に腕を回して、胸に顔を埋める。
どさくさに紛れて爽やかな敦賀さんの香りを堪能した。
「敦賀さん…」
「ん?」
敦賀さんも私を包み込むようにぎゅうぅっと抱き締めて、私の髪に顔を埋めてくれる。
「私、こんな風に大好きな人と一緒に花火を見ることなんてないと思っていました」
「キョーコ…」
「ありがとうございます。私、一生忘れません」
そう言うと、私を包む敦賀さんの腕に力が籠った。
「つ、敦賀さん、苦し…「そんな風に言わないで」」
「え?」
敦賀さんの腕の力は弱まらない。
「今年だけじゃないよ。来年も再来年も、何年先も。ずっとずっと一緒に見るんだから」
「敦賀さん…」
「そのうち、2人じゃなくて3人や4人になるかもね」
「え?……あっ!!」
敦賀さんの言葉の意味が分かって思わず見上げると、眩しいくらいに美しい笑顔の敦賀さん。
「いつか、家族みんなで見よう」
近いか遠いかわからない未来の話。
有言実行の敦賀さんとなら、これから先も一緒に花火大会を見ることが出来ると思う。
それでも私は、今夜の花火を一生忘れないって確信してる。
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甘いかどうかと言ったらあまじょっぱい感じ?
おせんべいみたいな…?
私にとって大切な某さま、2周年おめでとうございます。
こんなところでひっそりこっそり…|・`ω・)
日々いろんなことがあって、楽しいことも心を痛める出来事も。
3周年に向かってすこしでも心穏やかに、楽しんで某様がおはなしを書いてくださったら嬉しいです。
ヤダッストーカー!?…と思われたかしら…?
ごめんなさ~い 壁||)彡サッ