こんばんは。

昨日のお話を読み返したら、思い付いたのでUPです。
短めですが…



゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ ラヴァーズキス゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



もっと物分かりのいい子かと思った。

 

 

 

今日は帰ってきてからなんだか態度がよそよそしい。

普通に振る舞っているようで実は目を合わせようとしない。

それに、今夜の夕食はなんだか量が多かった。 

 

「今夜は随分と………豪勢だね」

 

「ええ。とってもお腹がすいているんです」 

 

そう言って笑顔を向ける彼女の視線は、微妙に俺の目から逸れている。

 

何か彼女の怒りを買うようなことをしただろうか? 

ここ数日の行動を振り返っても思い当たることがない。 

 

いつも忙しくてなかなか会えないから?

少し触れただけで、我慢できずにすぐに寝室に連れ込むから?

 

スケジュールが合わず思うように会えなくても、嫌な顔ひとつしないでいつも俺を励ます彼女。 

やっと会えたと思えば、君に触れたくて。

触れてしまえば最後、朝までだって離してあげられないこともしばしば。

それでも恥ずかしそうに困った顔をするだけで、いつもそんな俺を全身で受け止めてくれる。 

 

そんな彼女に甘え過ぎた…。 

 

 

夕食後、リビングでふたり。 

ラグに座り、脚の間に彼女を抱え込み抱きしめたまま、最近彼女が出演したドラマを観ていた。

 

「敦賀さんのドラマ、みました」

 

唐突にキョーコが話し始めた。

 

「みてくれたんだ」

 

「キスシーン」

 

「え?」

 

そのドラマは最近大きな賞を獲った純愛小説が原作。

ずっとずっと好きだった相手と想いが通じ合った場面で、キスシーンがあった。 

 

幼いころから恋い焦がれていた相手とのキスは、キョーコとした初めてのキスを思い出した。

あの時の緊張感と、高揚し高鳴る胸の痛み。 

それは今でもつい最近のように思い出すことが出来る。

その時の役とリアルの自分とが重なりあってできたシーンだった。

 

 

 

彼女のお腹にまわした手に、何かが落ちた、

見下ろした先、静かにキョーコは涙を流していた。

 

キスシーンなんて、付き合い始めてからも何度もあった。

キョーコだって、何度俺のキスシーンを見ても演技として割り切っていて、少しくらい嫉妬してくれてもいいのに。と俺が拗ねるくらいなのに。 

 

「キョーコ、どうした?具合悪い?」

 

当然の涙に狼狽えるばかりの俺。

そんな俺を気にも留めずに、キョーコが小さな声で呟く。

 

「あんな…」

 

「え…?なに?」

 

「私にするのと同じキスをしないで…」

 

声を荒げるでもなく、静かに静かに涙を流す彼女。

 

「キョーコ…」

 

 

それは彼女が初めて俺に見せた嫉妬だった。

その小さな炎に、俺の胸はまた熱く締め付けられた。 

 

 

 

 

前言撤回

 

 

 

もっともっと我儘になって




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