あけましておめでとうございますてへぺろうさぎ
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
2016年は私にとっても家族にとっても沢山の環境の変化がありました。
更新も随分とゆっくりになりました。 
自己満足で好き勝手に書いていますが、やっぱり読んでもらえたり、「いいね」やコメントを頂けることが、ここまで続けられた一番の理由だと思います。
妄想続く限り、少しずつですが更新していきたいと思いますので、今年もお付き合いくださると嬉しいです。 
 
今回の記事を書くにあたって、昨年の『年始のあいさつ』を読み返しました。
昨年は正月早々、だし昆布と乾燥わかめを間違えていたんですね。 
今年は間違えずにお鍋を作りたいと思いますカナヘイきらきら
 
 
ご挨拶がてら短編をひとつ書いてみました。
本当は大晦日にUPしようと思ったんですけど、間に合わずもう2日…ショックなうさぎ
お時間ありましたら、覗いて行ってくださいね。
 





 
 
 
☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜今年もきっと☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜
 
 
 

思えば去年の今頃は病院のベッドの上だった。

 

蓮とキョーコちゃんが付き合い始めて最初の年末年始。 

芸能界イチ多忙な俳優 「敦賀蓮」でも、まとまった休みを取る数少ないチャンス。

それでもアレやコレやと関係各所からの依頼お願い申し込みを、角が立たないように尚且つ次に繋がるような形で調整を進め、さらには未だにマネージャーがついていないキョーコちゃんの分のスケジュール調整までこなして、何とか二人が温泉旅行に出発できる段取りを整えた。

 

担当俳優からの少し…いやかなりの圧力を受けたとはいえ、二人の長年の焦れったくも甘酸っぱい片思いを見守ってきた俺としては、大事な大事な弟と妹の幸せのために尽力するのはやぶさかではなかった。

 

結局各テレビ局の年末進行もあって、普段以上に困難を極めたスケジュール調整を終えた俺は、蓮からの無言の圧力と期待でによるストレスと疲労から解放された途端、カウントダウンと同時に意識を失い、そのまま運ばれた。 

 

救急車の中でまで譫言のように「申し訳ありません来年も何卒よろしくお願いいたします」と繰り返し魘されていたらしいとは、松島主任からの後日談だ。

 

でもその甲斐あって、今年の蓮は例年にも増して絶好調だった。 

出演したドラマは軒並み高視聴率。 映画は記録的大ヒット。モデルとしても日本だけでなく海外での大きなショーも成功させた。

 

ショーに出演するために海外に行かなければいけなくなった時の蓮のゴネようは、思い出すだけでも今すぐ入院できるく自信がある。

 

でもこれもひとえにキョーコちゃんのため。 

彼女が自分と付き合うことで蓮の足を引っ張らないかなんて健気な心配をするもんだから、彼女を安心させて頼りがいのある所を見せたいと蓮は例年以上に仕事に気合を入れていた。

 

恋も仕事も充実した男は年を一つ重ね、タダでさえ最強だったそれに男の色気をふんだんに増量していた。

 

ただ、その裏で俺という犠牲が伴っていたことを知ってほしい。 

 

キョーコちゃんの新しいドラマが決まれば相手役のリサーチを強要。

海外ロケや長期ロケへはどうにかキョーコちゃんを連れて行けないかと俺に迫ってきた。

あのお願いしているようでその実完全に脅している薄ら怖い魔王の微笑み。

 

あれ、本当に怖い人がする微笑みだと思うんだけど。 

 

そんなこんなでなんだかんだ、去年一年間順調に仲良く愛を育んできた二人。

あんなに重量級の愛情でキョーコちゃんを雁字搦めにしている蓮だもん、破局なんてありえない。

何なら破局のハの字を呟くために息を吸うだけで背筋が寒くなる。

 

そして俺は今年もそんな二人の為に今年は年間計画でお正月休みをもぎ取ってやった。  

いまごろ二人は仲良くいちゃいちゃ温泉で……(〃ノωノ)

 

 

 

 

「………」

 

「………」

 

「…………なんで?」

 

「………すいません」

 

キョーコちゃん。

なんで此処にいるの?

 

「ここ…俺の部屋なんだけど?」

 

「はい…」

 

何故か俺の部屋の片隅、目の前には座布団に綺麗に正座するキョーコちゃん。

 

「温泉は?」

 

「それが…」

 

申し訳なさそうに膝の上で掌をモジモジとさせるキョーコちゃん。 

どうやら年越しギリギリまで働いた蓮の体調を気遣って用意した食事を食べる前に、蓮が強引にコトに及んだ事が許せなかったらしい。 

 

確かに年間計画とはいえ、一週間もの休みをあの蓮のスケジュールから捻出するためにはその前後に相当な過密スケジュールを熟さないといけない。

そんな蓮の体調を心配したキョーコちゃんの思いやりをアイツは「食べ物よりキョーコから吸収する栄養の方が俺には大事」とかなんとか言ってお布団に連れ込んだそうだ。

 

交際から一年たってもなお落ち着かない蓮の性欲と地に足がつかないほどの浮かれ具合に、ただただ呆れるばかりだ。 

 

チクチクと疼きだした胃を摩っていると、玄関の扉を叩く荒い音が聞こえる。

 

「社さんっ!俺です!そこにキョーコがいますよね!?社さん!?」

 

インターホンあるんだけどな…

 

どんだけ余裕ないんだよ蓮。

 

庶民の集合住宅の通路にいるには違和感あり過ぎの男を人目に触れさせないため、急いで玄関のドアを開ける。

 

「キョーコ!ごめんっ」

 

「敦賀さん…」

 

中に入るや否や土下座せんばかりの勢いで謝り倒す蓮。 

 

「久しぶりに会う君に抑えがきかなかった」とか「きみの気持ちをないがしろにしたわけじゃない」とか聞こえてくるのは蓮の甘い口説き文句。 

次から次へと流れ出る背中がムズムズかゆくなるようなセリフ。

 

本当に必死だな。 

 

暫くすると、仲直りが済んだのか俺がいる玄関のところまで二人がやってきた。

 

「お騒がせしました」

 

蓮の後ろから恥ずかしそうに顔を出して肩越しに申し訳なさそうにするキョーコちゃん。

礼儀正しいキョーコちゃんがこんなあいさつするなんて珍しい。

 

「キョーコの家で先が社さんの所なのは気に入りませんが…」

 

「はぁ!?」

 

なに?それ、責められるところ!?

しょうがないだろ!琴南さんは年末年始仕事で海外だったんだからっ。

 

心底呆れる俺と慌てるキョーコちゃん。

 

「ちょ、ちょっと敦賀さんっ」

 

キョーコちゃんが慌てて前へ出ようとしているのを蓮が後ろ手に邪魔してる。

そっか、キョーコちゃんずっと後ろに隠されたから、あんな挨拶だったんだ。 

 

「はぁ…仲直りしたんならさっさと家で仲良くいちゃいちゃしてれば?」

 

ため息とともにそういうと、蓮はにっこりと極上の笑顔を作った。 

 

「じゃあお言葉に甘えてそうさせていただきます。お騒がせしました」

 

「はいはい。蓮、休み明けは朝5時集合だからな」

 

「はい。今年もよろしくお願いいたします」

 

深く丁寧なあいさつをして、蓮は帰って行った。 

 

はぁ、確実に今年もあのカップルに振り回される1年になるな。

それでも可愛い弟妹の為、お兄ちゃんは全力でサポートしますよ!

 

 

 

……入院しない程度にね。

 

 


 

 



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