遅刻です オロオロ(゚ロ゚;))((;゚ロ゚)オロオロ
遅れましたが、蓮様ハッピーバースデー ワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ
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授業中。
委員会中。
宿題をはじめる時。
明日の学校の準備の時。
ペンケースを取り出す度にシャランと揺れる銀色の妖精。
誕生日に敦賀くんからもらったチャーム。
嬉しかった。
チャームが可愛かったことも。
『メリ-クリスマス』じゃなくて『ハッピーバースデー』を最初に言ってくれたことも。
☆☆☆
「敦賀くん、もうすぐお誕生日なんだって~!」
休み時間に聞こえた女の子たちの会話。
転校してきて以来、その綺麗な容姿と小学生とは思えないオトナな雰囲気。
同年代の男子とはちがって落ち着いていてノーブルな印象で、クラス中の女の子達の心を掴んで離さない敦賀君。
幼いころから幼馴染に言われ続けているとおりの真面目で地味な自分にまで、気さくに話しかけてくれる敦賀くん。
(敦賀くん、お誕生日近いんだ…)
こっそりと聞き耳を立てていると、どうやら今週末が敦賀くんのお誕生日らしい。
(そうだ、何かお礼をしよう)
お誕生日プレゼントなんて烏滸がましいけれど、このチャームのお礼なら気軽に渡せるかも。
そうと決まれば、早速計画を立てなければ。
急いでペンケースを開けると、シャランと妖精のチャームが揺れた。
敦賀くんの好きなものは何だろう。
普段の敦賀君の様子を思い出してみる。
アメリカから転校してきた敦賀くんは英語はもちろん、日本語だってなんの不自由もなく話す。
そりゃ時々おかしなことを言って社先生を慌てさせてるみたいだけど、私にはなにがおかしいのかよくわからない。
勉強だってスポーツだって他の子達より抜き出ているし、男子たちの小さな小競り合も、何かと突っかかってくるショータローのことも軽くあしらっている。
唯一弱点と言えば、給食の時間。
戸惑った様子であまり食が進まない彼に、最初は日本の食事が口に合わないのかと思ったけれど、実は極度の小食だってこともわかった。
あんなに大きな身体で、その食事量は栄養は足りているのかしら?
もう少し食べた方がいいんじゃ…
ついつい世話焼き精神で敦賀くんの食事事情に口出ししたところ、お父さんの食事量が尋常じゃないとか、お母さんの味付けが常任が尋常じゃないとか…。
そうだ、給食も殆ど食べない敦賀くんでも、簡単にスルンと口にできるものをプレゼントしよう。
プレゼントが決まれば後は行動するのみ。
必要な材料をノートに書きだし、早速放課後買い物に行こうと計画を始めた。
☆☆☆
「最上さん、手伝うよ」
社先生に頼まれた学級会の資料を纏めていると、敦賀くんが声を掛けてくれた。
「ありがとう敦賀くん」
学級会の日は放課後資料を纏める。
敦賀くんはそれを毎回手伝ってくれる。
放課後の静かな教室。
校庭から聞こえる子供たちの声。
お互いおしゃべりをすることもなく黙々と作業を続ける。
会話をしなくても、敦賀くんとなら不思議と気まずい雰囲気にならない。
むしろ心地いいくらい。
落ちかけた太陽の光が差し込んで、敦賀くんの髪が金色に透けた。
(コーンみたい…)
向かい合って座る敦賀くんをこっそり盗み見た。
机の上のプリントに向かって伏せられた長い睫毛。
鉛筆を握る長くてきれいな指先。
きゅっと結ばれた形の良い唇。
どれもまるで計算されつくしたかのように綺麗で、まるで宝物みたい。
じっくりと観察していたら、これから自分がしようと思っていることが恥ずかしくなって、ドキドキしてきた。
暫くして仕事を終え、教室を出る。
「敦賀くん、ちょっと保健室に寄ってもいい?」
「いいけど…どこか具合でも悪いの?」
「ううん…ちょっと、琴南先生に預かってもらっているモノがあって」
保健室に入ると、琴南線が出迎えてくれた。
先生にお辞儀をして、保健室に備え付けられている冷蔵庫から保冷バッグをとりだす。
「あの、敦賀くんこれ…」
「俺に?」
「うん。あの…いつも学級委員のお仕事を手伝ってくれてありがとう。あと妖精のチャーム、すごくかわいくて嬉しかったの。
それから…お誕生日、おめでとう」
言いたいことを全部一気に吐き出して、プレゼントを渡した。
箱の中には昨夜作った葡萄ゼリー。
今日のことを琴南先生に相談したら、「特別よ」って言って冷蔵庫を貸してくれた。
「あ、あのね、敦賀くん給食もあんまり食べてないし、そんな大きい身体で小食だから心配で…。ゼリーならスルンって食べやすいかな?って思って…作ったんだけど…」
「………」
「あの…め、迷惑だった…?」
「ううん。すっごく嬉しい…」
そう言って早速ゼリーをひとつ箱から取り出すと、食べはじめてくれた。
「うん。すごい美味しい!」
よかった!
プレゼントした私の方が嬉しくなって琴南先生を振り返る。
先生もよかったわねって微笑んでくれた。
滅多に見ることが出来ない琴南先生の笑顔もとても嬉しかった。
「最上さん」
敦賀くんの声がして前に向き直ると、ほっぺに柔らかい感触。
ちゅっ
「ありがとう」
目の前には、眩いばかりの敦賀くんの笑顔。
「こんなに美味しいなんて、毎日でも食べたいくらいだよ。そうだ!今から家に来ない?もっと美味しいものを食べさせて?朝ごはんも作ってほしいな。だから今夜は「こらー!!蓮!お前はまたっ!!」」
呆然とする私の目の前には、いつからいたのか社先生が慌てて敦賀くんの口を塞いでいる。
琴南先生も大きなため息。
今…ほっぺに…
「~~~っっ!!!?」
社先生が私に向かって必死でなにか言っているけど、まったく耳に入ってこなかった。