ヘビ2題
 
                         ◇まゆつば国語教室18
 
 
う~む。
前回の「強力(ごうりき)女性」の話、いまいちでしたね(;´Д`)
物語の動きが少なく、ほとんどが兄貴による「説明」として語られてしまうのが難点でした。
ということで、名誉挽回。汚名返上。
(「汚名挽回」はだめですよ(笑))
 
えっちネタをいきます(またか!)
といっても、蛇の話です。
蛇というのは、その形状からして、古今東西、男性のシンボルと見なされますね。
フロイトもユングもそんなこと言ってたような気がします。
 
はい。
『今昔物語集』でもやはり……いや、ちょっと違うのも……という話です。
本朝世俗部巻二十九第三十九「蛇見女陰発欲出穴当刀死語」と、続く第四十「蛇見僧昼寝𨳯呑受淫死語」のハイライト。
 
 
<第三十九>
 
都の通りを歩いていた若い女。ふと尿意を催して、わきの垣根の方へ入っていきました。
召使いの童女は、もう終わるかなと通りで待っていたが、ふた時(四時間)を過ぎても戻ってこない。
(いつまで待ってる( ̄□ ̄;)!!  ばかか( ̄□ ̄;)?!)。
 
馬に乗った男が通りがかりました。
泣いている童女を見て、従者に問わせると(エラい人は直接話しかけないことが多い)、童女はかくかくしかじか。
馬を下りて探すと、死んだように倒れている女を発見。
押したり引いたりするが、動かない。
ふと、垣根の下を見ると……
 
男、きと築垣(ついがき。垣根)の方を思はず見やりたるに、築垣の穴のありけるより、大きなる蛇の、頭を少し引き入りて、この女を守りてありければ、
「さは、この蛇の、女の尿
(しと)しける前を見て、愛欲を発して蕩(とろかし)たれば、立たぬなりけり」と心得て、前に指したりける一とひ(不明。匕首か)の剣の様なるを抜きて、その蛇のありける穴の口に、奥の方に歯をして、強く立てけり。
 
垣根の下に穴があり、穴の中に大蛇の頭がちらりと見える。この女を守るかのように。
「さては、この蛇が、女がおしっこしている“前の部分”を見て欲情し、女をトロカシて動けなくしてるんだ!」
と確信。刀を穴の前に、刃を奥の方に向けて立てた。
 
さて、従者どもを以って、女を済上(すくいあげ)て、それ(女)を去りける時に、蛇、俄(にわか)に築垣の穴より、鉾(ほこ)を突く様に出でける程に、二つに割(さ)けにけり。
一尺割けにければ、え出
(い)でずして死にけり。早う(なんと)、女を守りて蕩(とろか)してありけるに、俄に去りけるを見て、刀を立てたるをも知らで(知らないで)、出でにけるにこそは。
 
従者に女をかかえ出させると、蛇は穴から出ようとして二つに裂けてしまった。
トロカシて守っていた女が急にいなくなったので、あわてて追いかけようとして、立てた刀に裂かれてしまったのでした。
 
かわいそうな蛇………ちがうか。
 
しかれば、蛇の心は、奇異(あさまし)く怖しきものなりかし。
 
だそうです。
蛇はやっぱり嫌われ者なんですね。

しかし、この女性、意識がもどって事情を知ったとき……(;´Д`)
 
 
<第四十>
 
こちらは、若いお坊さん。
お堂の中でうとうと居眠りをし、夢を見ました。
 
夢に、美しき女の若きが傍(かたわら)に来たると、臥して、よくよく婚(とつぎ)て淫を行ひつと見て、きと驚き覚めたるに、傍を見れば、五尺ばかりの蛇あり。
おびえて、かさと起きて見れば、蛇、死にて口を開きてあり。
あさましく恐ろしくて、わが前を見れば、淫を行ひてぬれたり。
「しかれば、我は寝たりつるに、美しき女と婚
(とつぐ)と見つるは、この蛇と婚ぎけるか」と思ふに、物も思えず恐しくて、蛇の開けたる口を見れば、淫、口にありて吐き出(い)だしたる。
 
いやいや。
なまなましくて、訳せません。
適当に想像してください(*´з`)

まあ、簡単に言うと、
夢で美人さんとやった💛と思ったのは、じつは、蛇とやってたんですね。
蛇の口の中に……訳せません。
 
ちなみに、「美しき女の若きが」というのは、前回も出てきた「同格の『の』」というやつです。
「美しい女で、若い女(人)が」。要するに「若い美女」です。
 
このお坊さん、恐れおののいたけれど、その後は特に何事もなかったとか。
最後の編者のコメントがちょっと面白い。
 
「畜生は人の淫を受けつれば、え堪へで死ぬ」と云ふは、まことなりけり。
 
「え堪へで」(え~打ち消し)は、「堪えることができないで」という意味でしたね。(授業はもういい!)
 
しっかし…
男の「淫」というのは、すごい破壊力なんですね( ̄□ ̄;)!!
動物が受けると死んでしまう((((;゜Д゜)))

はい。今回は以上です。
女性のブロ友様がた、大変しつれいしました <(_ _)>