またまた終了ギリギリの駆け込みでしたが、
東京国立近代美術館にて、
重要文化財の秘密展
行って来ました~
見ず知らずの親切な方に写真撮って頂きました(笑)
ご覧の通り、テンション上がりまくりなワタクシでございます
そして気になるサブタイトルが、
「問題作」が「傑作」になるまで
そりゃ気になる!Σ( ̄□ ̄;)(笑)
今回の展覧会は、
明治以降に製作された絵画・彫刻・工芸品で、重要文化財に指定された作品が大集合 というものでございます
まあ普段から、こちらの国立近代美術館さんをはじめ、各美術館が常設展示しているものも多いから、何だかんだで観たことある作品が多いのですが(笑)、
一度に集まってると、見比べたりもできちゃうし、タイパも良いですネ(笑)
明治以降の重要文化財は、全部で68件あるのだそうで、
今回はその内51点が集結
してるのだそうです
なるほど、
印象としてはほぼ全部だな(笑)
よおし、どんどん観て行こう
はい、ここから載せてる写真は、ワタクシが手で撮ったものなので多少斜めの角度からになったりして歪んで写ってるカモですが、ゴメンナサイ 加工はしてません
今回、有難いことに写真撮影OKの展示が多かった
のですが、撮影NG作品については、上の写真みたいな壁紙やポスターなどを載っけます
さて、今回の展覧会ですが、
明治になって、世の中が急速に西洋化が進んでいき、西洋の画風がどんどん入ってくる中で、
日本の画家たちは、これからはどのような絵を描いて行けば良いのかという事を色々試行錯誤していったのですね
勿論、日本の伝統的な絵も素晴らしいものなのですが、
当時の日本は、
西洋風=新しくて優れたもの
日本風=時代遅れ
みたいな価値観に追い立てられてる時代でした
そんな中で、
画家たちがこの価値観の中、どんな挑戦をして、日本の美術史に影響を与えていったのか、
というのがこの展覧会の見どころでした
まず最初は、日本画のコーナーです
入口入って冒頭にまず展示されていたのが、こちら
菱田春草「黒き猫」
永青文庫
いきなり大物きた!(≧▽≦)
こちらの絵は写真NGだったので、上の写真は壁紙のものですが
背景は浮世絵風、というか、ワタクシの好きなミュシャの装飾を思い出すような、平面的だけど優美な雰囲気ですが、
その中で、漆黒に描かれた猫の存在感が異様に際立ちます
にゃんこのモフモフ感よ(笑)
一見、真っ黒に塗り潰したような猫ですが、むしろ写実的な程に毛並みを描き込んでるのね
この写実な猫と、装飾的な背景との共存
新しい時代に晒されて存亡の危機にあった日本画に、西洋の画風を取り入れようとして挑戦してたのね
菱田春草さんって、富士山の絵でお馴染みの横山大観さんと共に、岡倉天心さんの下で日本画を学んでいた方なの
この作品も、展覧会に出品するために、僅か5日で描いたのだとか
まじすか
この次は、横山大観の「生々流転」という、
40m位ある水墨画の巻物絵が展示されてましたが、こちら撮影NG
まあ撮れたとしても写真に収まり切れませんが(笑)
水の一生を描いたような作品で、
山の中の雲から始まり、雨になり、小川になり、やがて大河になって海に辿り着き、
最後はまた水蒸気になり、龍と共に天に昇っていく、ってな物語のある絵でした
ワタクシ、横山大観さんの絵はそんなに好きではないのですが(笑)、
この大長編を墨だけで描いちゃうパワーは、素直にすげぇ と思いました
この「生々流転」が、製作から重文指定までの期間が最も短い作品なのだとか
その後も大作が続きましたが、
次にご紹介するのはこちら
竹内栖鳳「絵になる最初」
京都市美術館
竹内栖鳳さんは西洋で絵を学んで、帰国後、東本願寺の天井画の以来を受けました。
それで、西洋のやり方に習い、天女の絵を描くために新人のモデルを頼んだら、
モデルさんがまだ不慣れで脱ぐのを恥じらって、
その時の様子を描いた作品デス
当時は、日本画では裸体画はあまり関心を持たれてなかったそうです。
そんな中、ヌードこそ描かれてないですが、そのモデルの心情にまで切り込んだ作品は、確かに斬新カモ
絣の着物の柄は、まるで印象派の筆致のようにササッと描いてるように見えますが、
床に落ちてる帯の柄は、精緻に描かれてるのね~
それに、その後ろの襖の絵なんて、めっちゃ気合い入ってる
こういうの好き
村上華岳「日高河清姫図」
東京国立近代美術館
おおお
清姫って、あの日本を代表するホラーヒロインよね 貞子やお岩さんみたいな
好きになった若い僧侶、安珍が、逃げて道成寺の鐘に隠れたのを、蛇に化身して追っ掛けてきて焼き殺しちゃった、
歌舞伎の超怖い演目でお馴染みの
子供の頃に歌舞伎中継をテレビで観て、ちょいトラウマなんですケド(笑)
でもこの絵、
なんか全然ドロドロしてない
盲目()の女性が裸足で河まで歩いて来て、
何だか危なっかしい足取りに見えます。
怖い要素がほとんど無い
タイトル見ないと清姫って気付かないなぁ。
勿論、清姫が盲目って話は聞いた事ない
でも、この心情を抑制した表現が評価されて、重要文化財に指定されたのだそうです
土田麦僊「湯女」
東京国立近代美術館
赤い衣の女性が一際映える
この女性が「湯女(ゆな)」だそうで、銭湯や温泉宿で垢擦りや髪すき、時には食事や楽曲のサービスをする人だそうです
なんか働かないで寛いでるけどね(笑)
休憩中かな
松の枝の描き方とかは、日本の屏風絵の昔からの手法を使いつつ、
女性の描き方は、陰影があったりして西洋的な描き方を取り入れてますネ
上村松園「母子」
東京国立近代美術館
お待ちかねの上村松園さん
これは見たかった奴
今のところ、重要文化財になった作品を作った、女性で唯一の人デス
去年の「怪しい絵」展でも有名ですネ
……観こそねたケド(笑)
でもこちらは怪しくない絵で、
母子の愛情を感じられる、素敵な絵です
西洋の聖母子像を思い出します
よく観ると、この女性はお歯黒してるのね
美人画みたいなのとも違う、優しい雰囲気のある日本画です
上村さんの母が亡くなった年に描かれた絵だそうで、
画業を支えてくれた母への追悼の意味も込められた作品、なのだそうです
前田青邨「洞窟の頼朝」
大倉集古館
源平の戦いで、石橋山の合戦で敗れた源頼朝が、追手を逃れて洞窟に隠れてる場面を描いた絵デス
僅かこれだけの手勢だけの絶体絶命のピンチに、梶原景時に出会った事が運命の分かれ道になる、そんな場面です
頼朝、思ったよりいかついのね(笑)
まあ、我々お馴染みの頼朝像自体、別人の絵という説が割と有力らしいので、何とも言えないのですケド
それにしても目を引くのは、武者鎧の細かい描き込みぶり
実際に伝わってる大鎧をだいぶ研究して描かれたものなのですって✨
それでいて、
江戸時代の武者絵とは明らかに違う描き方をしています
リアルな絵にだいぶ振ってる
こちらが義経
二艘の屏風のうち、最初はこの義経の側だけで描かれてたみたい
描かれた当時は、日中戦争が泥沼化してた時代で、
そんな中、兄の急に馳せ参じる義経というモチーフが政治的に利用されて、
大政翼賛会のポスターにもなってたんですって
ご時世だったとは言え、なんだかな~
はい、日本画のコーナーはここまで
あれ
なんか、観たかった絵が幾つか、
無かったような……
どうも展示替えが結構あったらしい!Σ( ̄ロ ̄lll)
なん、だと…………
51点が集結、と言いながら、
今日観れるのは38点なのですって!(ToT)
いや、
なんぼなんでも少なくね
特に、日本画コーナーは展示替えが多くて、観れない絵が多かったので、
悔しいので、ワタクシの特に観たかった(けど観れなかった)作品を少しご紹介(笑)
実物の展示は無かったけど、壁紙で明治以降の重要文化財作品が全て紹介されてました
狩野芳崖「悲母観音」
東京藝術大学
今回見逃した作品で、一番悔しかった奴
こちらの絵は、明治以降の絵画で初めて重要文化財に指定された4作品のうちのひとつなのですって
この次の洋画コーナーで展示されてます「騎龍観音」って作品と、そっくりさんな構図で描かれてる仏画で、
これはセットで観たかった~
どうやらワタクシが観に行った前日まで展示されていたらしい(ToT)(笑)
狩野芳崖さんは、室町時代から続く日本画の絵師集団「狩野派」の流れを受け継ぐ人で、
言わば伝統的日本画の最高峰にいる人だったの
それが、この時代の価値観の変動を受けて、西洋画の手法を取り入れていこうと模索していった人でもあるの
この絵も、西洋のお馴染みのモチーフ「聖母子像」に影響を受けているのね
まあ日本では、マリア様と観音様ってなんか同一視されがちですしね
そして、陰影の表現にもチャレンジしてるのが観てとれます
雲のところとか分かり易いかな
近くで観たい~
はい、他にも観たいのいっぱいありますがキリがないので(笑)、
次はお楽しみの、洋画コーナーを観て行きます~
つづく。