美術の殿堂 | 湧flow

美術の殿堂

会期が終わらないうちに、藤田嗣治の学生時代の作品「婦人像」を観とかなきゃ…と、
「コレクションの誕生、成長、変容 -藝大美術館所蔵品選-」
に行ってきました。

上野の芸大は、たしか学生時代に学園祭か何かでちょっとだけキャンパス内に入った記憶があるのですが、
東京藝術大学大学美術館を訪れるのは今日が初めて。
芸大の所蔵作品を管理していた芸術資料館が、
1998年に美術館として生まれ変わり、今年で11年目だそうです。

さすが、日本画・工芸・洋画と幅広いジャンルで、超一級の作品ばかりで、
美術の教科書で見たことのある作品もいくつか展示されてました。

お目当ての藤田嗣治の「婦人像」は、
デッサンの確かさと人物の肌の瑞々しさ、着物の表現など見ごたえのある作品。
これはテレビや新聞で見ていただけに「なるほどね。いいね」だったのですが、
隣に卒業時の自画像が並んでいて、何とも気障なお坊ちゃま風なのが予想外で面白かったです。

他、特に印象に残ったのは次の作品。
狩野芳崖「悲母観音」…全くスキのない完璧な美でした。
上村松園「序の舞」…でかっ! こんなに大きな作品だとは思っていませんでした。150号以上あったかも。
平櫛田中「横笛堂」…すっと立った若い僧の木像なのですが、何とも惹かれる…。語る禅僧 南直哉さんのイメージでした。

そして、一番興味を持ったのが、洋画の原田直次郎(私、存じ上げませんでした(;^_^A)。
時代的には、芸大設立に貢献した岡倉天心なんかと同世代で黒田清輝よりちょっと年上の方ですが、
明暗のはっきりしたドラマチックな画風に魅了されました。
帰ってからいろいろ調べたら、東京芸大の前身東京美術学校が開校されるとき、
洋画排斥まっただ中で、最初は洋画科がなかったのを批判したそうです。
その後、黒田清輝や久米桂一郎なんかが明るい画風で出てきて旧派と批判され、
36歳の若さで病で没したとのこと。

日本洋画の黎明期をかいま見て、何だか勉強した気分の一日でしたアート