南の島の仙人 | 湧flow

南の島の仙人

この夏長野で、一時間に一本しかないバスを待つ間、
いろんな画集を引っ張り出しては眺めていました。

こんなに美術系の画集がそろっている様を見るのは、
おそらく大学時代の図書館以来で、なかなかに幸せな時間:*:・( ̄∀ ̄)・:*:。
今、勉強中の日本画の参考になるように
できるだけ日本画のものを選びます。

日本画の画材で今までやってきた洋画風に描くと、どこかしっくりせず
何が違うんだろうと行き詰まっていたところ、
どうやら
立体と空間、特に奥行きを表現する伝統的な洋画の手法に対して、
日本画っていうのは、
対象のいろんな部分を削ぎ落として抽象化することが特徴だという結論に達しました。
一般的な日本画では西洋画より輪郭線がはっきり描かれてますが、実際の対象に線などありませんから
その線自体もある意味抽象であり、
空間と奥行きを極端に表現すれば、限りなくリアルな写真のような立体感が出ますが、
それらを追求せず、ぺたっと平面的に描く日本画っぽさも抽象。

平面的なのに、空気、匂い、温度を感じる優れた日本画
っていうのが、目下の私の目標とすべきところで、そんな作品を観たいのです。

田中一村 作品集
恐らく日曜美術館だったと思うのですが、ちらっとだけその作品の映像を見て
 名前は記憶にありました。 たしか日本のゴーギャンと言われているとか。

B4の薄手の画集を開くと、
 色鮮やかな植物や鳥、そして逆光の影の見事な表現が、
南国の光を際立たせています。
卓越したデッサン力、構成力、色感…、
まさに私が日本画に観たいものがそこに再現されていました。

人となりは、まったく知りませんでしたが
東山魁夷などと東京美術学校で同期でしたが、2ヶ月で退学。
将来を嘱望されていながら、画壇とのつきあいや職業画家として描くことを厭い、
49歳で奄美大島に移住。
紬の染色工をしながら制作を続け、心不全で没したのが69歳
菜食主義で、世俗とのつながりを断ち切り、
まさに仙人のよう…( ̄ー ̄)。

実物が観たい! と思って検索したら、
どうやら奄美大島に行くしかないようです船