>  >  > すべてが真逆に進む「ミラーユニバース」の存在を物理学者が提唱!

2017.06.29

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【ガチ】すべてが真逆に進む「ミラーユニバース」の存在を物理学者が提唱! 宇宙は常に2つ存在する「⇔構造」だった!の画像1
画像は「Big Think」より引用


 我々の宇宙と同時に発生したとされる「ミラーユニバース(鏡の宇宙)」では、全ての事象が反対方向に進行する。そこでは、人々が死後に目覚め、老年を過ごし、大学生活を楽しんでいるというのだ。

 様々な分野の知的発見を提供するウェブサイト「Big Think」(6月22日付)が、「ミラーユニバース」の存在を主張する2つの有名物理学者グループの理論を紹介している。荒唐無稽と思われがちな同理論が、科学的にあり得るモデルとして再注目されているようだ。


時間が逆行するミラーユニバースの復権

 1928年、イギリスの理論物理学者ポール・ディラックが反物質の存在を想定した「ディラック方程式」を考案して以来、宇宙誕生時に同数の物質と反物質が存在し、それらが相互作用しているとする「CP対称性」が物理学界で唱えられてきた。

 自然界における高エネルギー衝突中や、人為的に陽子を衝突させる実験などにより、現在までにいくつもの反物質が発見されてきたが、その数は物質に対して圧倒的に少ないことが明らかになっている。反物質は、一体どこに行ってしまったのだろうか?

【ガチ】すべてが真逆に進む「ミラーユニバース」の存在を物理学者が提唱! 宇宙は常に2つ存在する「⇔構造」だった!の画像2
画像は「Big Think」より引用

 ここで注目されたのがミラーユニバースだが、1964年に物理学者のジェイムズ・クローニンとヴァル・フィッチが行った実験で、素粒子の間で作用する基本相互作用の1つ「弱い力」がミラーユニバースと矛盾することが分かり、その存在は反証されてしまった。後にこの功績が認められ、2人はノーベル物理学賞まで受賞している。

 そんな経緯もあり、ミラーユニバースの存在は物理学から抹消されたかのように思われたが、2004年に入り急展開を迎える。カリフォルニア工科大学の物理学者ショーン・キャロル教授と当時大学院生だったジェニファー・チェンが、“一方向に流れる時間”を説明するために、ミラーユニバース理論を再検証したのだ。


■複数の物理学者がミラーユニバースの存在を提唱

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画像は「Big Think」より引用

 2人はビッグバン時に2つの宇宙が正反対の方向に同時に発生したとするモデルを構想。これによると、我々の宇宙は物質で形成され、ミラーユニバースでは反物質がその役割を果たしているという。そのため、我々の世界では時間が前に進むが、ミラーユニバースでは後ろに進む、というわけだ。

 一般的にいって、時間について語る時、我々は熱力学の第2法則を考慮している。いわゆるエントロピーである。エントロピーは徐々に複雑性を増しながら拡散していき、いずれは熱的死を迎え、時間も停止すると言われている。しかし、キャロル教授とチェンはエントロピー理論ではなく、重力理論に注目することで、弱い力と矛盾しないミラーユニバースの存在が可能であると証明した。

 2014年には、ジュリアン・バーバー、ティム・コスロフスキ、フラヴィオ・メルカティらが同モデルを検証し、アメリカ物理学速報誌「Physical Review Letters」に投稿。前後に頭を持つローマ神話の神ヤヌスにちなんで名付けられた「ヤヌスポイント」から、2方向に重力が拡張することがコンピュータシミュレーションで明らかになったという。

【ガチ】すべてが真逆に進む「ミラーユニバース」の存在を物理学者が提唱! 宇宙は常に2つ存在する「⇔構造」だった!の画像4
画像は「Big Think」より引用

 さらに昨年、キャロル教授はMITのアラン・ガースとチームを組み、熱力学に従った場合でも、同様にミラーユニバースが形成されることを突き止めた。2人は、このことを “2つの頭を持つ時間の矢”と名付けたという。

 ただ、問題点もあり、同理論は古典物理学の枠組みでは機能するものの、一般相対性理論量子力学では検証されていないと指摘されている。ミラーユニバースの存在が確証されるのはまだしばらく先になりそうだ。今後の研究に期待しよう。
(編集部)


参考:「Big Think」、「Solon」、ほか